責任者が「穴をあける」育休取得した男性の正念場 こうして「ハイブリッド育休」を実現させた

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「育休を取得したい気持ちはありました。今しかない子どもの成長の瞬間に立ち会いたかった……。でも、当時は初の自社店舗が大変な時期を迎えていました。僕は事業責任者で、今のタイミングで育休を取ることはチームにとって影響が大きく、後々僕自身も後悔するだろうと考え、現場を離れないという選択をしたんです」

吉田さんやメンバーたちの奮闘もあり、コロナ禍を乗り越え事業は成長していく。第一子となる長女も2020年11月に無事誕生した。しかし吉田さんのなかで、育休を取れなかったことに対しては心残りがあった。

コロナ禍のなか開催された式の様子(提供:株式会社CRAZY)

2021年の年末、第二子の妊娠がわかる。吉田さんは、「今度は絶対に育休を取得する」と決めていた。幸い、事業も順調に成長していたことや、会社に人生やパートナーシップを大切にするカルチャーがあることも、決断を後押しした。

しかし、なにしろ吉田さんは事業責任者。「メンバーに迷惑がかかるんじゃないか、という怖さは今回もありました」と振り返る。そこで選んだのが、100日間の「ハイブリッド育休」というかたちだ。

「ハイブリッド育休」は、基本的には休業するものの、週に10時間ほど不定期で社内ミーティングや採用面談などのみをオンラインで対応する、休業と就業をハイブリッドさせた育休である。

「育休の期間はしっかり家族に集中したいけど、完全に仕事から離れるのは僕にとっても不安があったし、メンバーも不安だろうと。そこで、家庭も仕事も両立するかたちとして、会社に提案したんです」

育休は家族との関係性を深める時間になった

ハイブリッド育休を取得するまでに、吉田さんは入念に準備を重ねた。まず、育休を取得するおよそ半年前の2021年12月から、パートナーと家族会議の時間を持ち、「どのくらいの期間の育休を、なぜ、どのようなかたちで取るのか」をすり合わせ、自分の意志を固めていった。

そして2022年3月、役員に「ハイブリッド育休」を提案。了承を得たのち、現場のメンバーにも伝え、業務の引き継ぎを行った。「早い段階から調整を行うことは、育休後の復帰をいいかたちですることにもつながる」と考えていたのだ。

こうして、吉田さんは2022年7月後半から10月末まで育休期間を過ごすことになった。100日間は、夜泣きや体調の変化など、予期せぬ出来事に24時間対応しなければならず、「知人に『育休中になにしてたの?』と聞かれてモヤっとしてしまうほどやることが多く、大変でした」と振り返る。

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