自分の会社を事業譲渡して「からっぽ」に
江藤さんは30歳のとき、イギリス企業のコンテンツライセンス管理会社を設立。禁煙支援プログラムを販売する事業を始めた。このプログラムは、江藤さんがイギリスにサッカー観戦のために滞在したときに出会ったものだ。
書籍・DVDの売り上げが累計300万部を達成するなど成功を収めたが、37歳のときに事業譲渡を決断。社員とのあいだにすれ違いが起きたことが理由だった。
「私自身、人に雇われたことがなかったので社員の気持ちをわかってあげられず、溝ができてしまったんだと思います。たとえば、事業にあまりコミットしてくれない社員に対して『なんで全力で働いてくれないんだろう』『自分ならもっとこうするのに』と不満を持ってしまって。そのほかにもいろんなことが重なって、自分は社長には向いてないんじゃないかと思い、代表を降りる決断をしました」
事業を譲渡した江藤さんはまったく先が見えない状態になり、実家がある富山に戻ることにする。37歳での挫折だった。
「それまで、その事業のことだけを考えて生きてきたので、ほかにやりたいことがないんですよ。自分がからっぽになってしまった感覚がありました」
まわりでは、自分と同じように起業した人たちが会社を成長させ、同年代の人は結婚をしていく。江藤さんのなかで「自分は何をやってるのだろう」と、焦りが首をもたげてきた。
そんな焦りを打ち消すように、江藤さんは韓流ドラマにハマっていった。TSUTAYAでDVDをレンタルし、睡眠時間を削ってドラマを観続ける日々。韓流ドラマは、つかのまの現実逃避をさせてくれた。
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