今回の記者会見をサポートしているPR会社のサイトを見ると、ベテランの元新聞記者など報道経験者が複数在籍しているようだ。
PR会社と言うと「金を払えば受注する」と思う人もいるかもしれないが、決してそんなことはない。また、今回のような不正が絡んだ事案の場合、しかも初の会見となれば、そこでのやり取りがお粗末だったり、会社側の説明が隔靴掻痒だったりすると、仕事を引き受けたPR会社にもマイナスの影響が及びかねない。あくまで推測の域を出ないものの、そのリスクすら認識したうえで、引き受けたということだろう。このようなことを勘案しても、「危機管理」を委ねるには、最適の選択だったように見える。
にもかかわらず、会見が「お粗末な発言」のオンパレードとなったのは、あまりに急な依頼で満足な準備ができなかったか、社長の「特異なキャラクター」ゆえ、密なコミュニケーションが取れなかったか。そのいずれかではないだろうか。
いずれにせよ、平時からの広報・危機管理への取り組みの大切さが浮き彫りになる会見であったのは間違いない。いくら危機管理の専門家がサポートしても、多くの記者が集う会見という場では、モラルなき企業風土を覆い隠すことなどできないのだ。
ビッグモーターのこれから
さて最後に、ビッグモーターを巡る報道の「これから」を予想したい。今回の謝罪会見を機に報道は沈静化するどころか延々と続くことになると、私は見ている。
保険金不正請求の調査報告書によると、4割の修理案件で不正が見つかったという。兼重社長は会見で「組織的関与」を否定した。だが、「バレた」だけで不正は4割にも上っているのだ。LINEなどの証拠を持つ社員、元社員が相当数いる可能性が高い。今後、さまざまな不正の証拠が出てくるのは確実ではないか。
さらに保険金請求「以外」の不正も出てくる可能性がある。また、これは不正には分類されない事案だが、「外から車がよく見えるように、ビッグモーター店舗前の街路樹に除草剤が撒かれて枯れている」という疑惑が、すでにツイッターを中心に指摘されている。
もし今後、新たな不正の背景に「組織的関与」や「経営陣の指示」があったことが明らかになれば、どうなるだろうか。これらを否定した社長の発言は報道やツイッターで「必ず」引用されるだろう。新たな不祥事は「社長のうそ」という燃料を投じられて、さらに燃え上がることになるのではないか。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら