大手コンサルが警鐘鳴らす「不祥事」の初動対応 記者会見をぶっつけ本番で行うのは難しい

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ビッグモーターの記者会見
中古車販売大手ビッグモーターは今年7月、保険金の不正請求など一連の不祥事を受けて記者会見を開催。会見を開くまでの「沈黙の期間」が長かったことはマイナスイメージになった(撮影:今井康一)

52%――。これは過去3年間になんらかの不正行為や不祥事が発覚した企業の比率だ。

企業の会計監査やコンサルティングを行うデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーが、上場・非上場企業に調査。計476社から得た回答は、そのような結果となった。発覚した不正・不祥事で最も多いのは、従業員などによる横領。次に会計不正、サイバー攻撃や情報漏洩と続く。

「コロナ禍が続いたことで、職場内の牽制機能が弱くなり、不正行為が発生しやすい環境になった。コロナ禍の収束とともに不正の発覚が増えている」

公認会計士として多くの不祥事案件で調査委員会の委員などを経験してきたデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーの中島祐輔パートナーは、そう指摘する。

発覚5日後までの対応が勝負

事案が発生した際は、事実確認から顧客や取引先への説明など初動対応が必要となる。しかも迅速に行わなければならない。例えばサイバー攻撃で個人情報が流出すれば、政府のガイドライン上5日以内に報告が求められる。製品の品質不正など人命に関わる場合は、より緊急性が増す。

そこで、デロイト トーマツでは2023年5月に専門の部署「危機管理センター」を設置。初動の状況把握からリーガル面のサポート、メディア対応まで幅広く支援する。これまで同社との取引がなかった企業や団体でも相談しやすいように電話相談窓口も整備した。

開設の理由について中島パートナーは、「事案の発覚後3日から5日が〝ゴールデンタイム〟。躊躇してゴールデンタイムを逃すのはもったいない。『ここに電話してくれれば一歩先に進めますよ』という窓口が必要だと感じていた」と語る。

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