「どんな本を読むべきか」と問う人の深刻な問題 "稀代の読書家"が勧める「人生を変える読書術」

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「歴史は繰り返さないが韻を踏む」というのは、作家のマーク・トウェインの言葉だと言われています。歴史上まったく同じことは起こらないが、歴史には一定のパターンがあるということです。

これは個々の人間についても言えることで、私たち人間は、古来から同じような喜びや悲しみや幸せや悩みを抱えて生きてきました。

人類誕生以来、累計で1000億人を超える人間が生きてきたと推計されていますが、そうしたたくさんの人生が、過去数千年の本の歴史の中に凝縮されています。

そうした本を読んでみると、自分が今抱えている悩みと古代ローマ皇帝のマルクス・アウレリウスの悩みが少しも違わないこともわかってきます。だからこそ、本を読む意味があるのです。

私たちには、その生き方が参考になる素晴らしい人生の先達がたくさんいるのです。

本は「どこでもドア」のようなもの

ただ、問題なのはあまりにも世の中に出回っている本が多過ぎて、いったいどれを読んだらいいかがわからないということです。

今、日本だけでもおおよそ年間7万冊の本が出版されているそうです。1日3冊読んだとしても年間で1000冊しか読めない訳ですから、その数の多さに圧倒されてしまいます。

でも、ここで自然淘汰の力が働いて、ほとんどの本は1年で絶版になってしまいます。

まして10年、100年ともなると、もうほとんどの本が国会図書館などのアーカイブの中に埋もれてしまいます。その中で、古代ギリシアや中国の古典のように、二千数百年の時を経てなお生き残っている本もあります。

このようにして時代の波を乗り越えて生き残ってきたものに何の価値もないと想定するのは、かなり無理があるのではないでしょうか。だとすれば、そうした本を手に取ってみたらどうでしょうかということです。

そして、こうした人類の歴史に残る名著200冊を解説したブックガイドが『読書大全』なのです。

このように、本というのはドラえもんの「どこでもドア」のようなもので、いつでも好きな時に読者の側にいてくれる友人とも呼べるような存在なのです。本があれば、あなたは決して孤独になることはありません。

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