「中国パンダ基地」空前のブームに沸く現地の様子 身動きできないほどの混雑、どう回るとよい?

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園舎を出たら、さらに列が伸びていた。係員は観光客に「2時間並ぶからここはやめたほうがいいよ」「花花の今日の仕事は終わったよ。並ぶのは時間のむだだ」と呼びかけていた。

この混雑の要因の1つはツアー客だった。添乗員の旗があちこちにはためき、社会科見学らしい中学生から、四川省ツアーのついでに寄ったらしいミドル・シニア層までいる。四川省には九塞溝や峨眉山など中国を代表する観光資源が多くあり、いずれも成都市が起点になる。ブームになっているパンダもツアーに必ず組み込まれるのだろう。

夏休みで混雑に拍車がかかる(写真:筆者撮影)

寝ているパンダを起こそうと、子どもが園舎のガラスを叩いていた。日本から2月に返還されたパンダたちは今も公開されていないが、それもわかる気がした。繊細な個体だとこの環境はなかなか厳しい。

列が進まないことに腹を立て、係員に罵声を浴びせる客もいた。係員は拡声器で「文句があるならこのまま帰るか、もっと上の機関にクレームしなさい。われわれに怒っても労力の無駄だ。システムを改善しないとどうしようもない」と応戦している。とても説得力がある。

劇場などがある新エリアも

気温は37度、疲労困憊で歩いていると、以前来たときはなかった新エリア「無限山丘区」への入り口があった。「こちらは比較的空いています」との掲示板もある。そのまま進むと、このエリアにはツアー客がおらず、人も3分の1くらいだった。

園舎の前はやはり人だかりだが、列に並ぶまでではない。1時間ほど歩き回って数頭のパンダを見ることができた。このエリアは、将来的にはパンダ基地の中心部になるようで、「劇場」やフードコート、土産物屋、郵便局があった。

地図を見ると、ここは広大な園区の真ん中にあたり、最初に入った「南門」と反対側にある「西門」もそう遠くない。パンダ基地の公式サイトには「現在、成都パンダ基地の新エリアはまだプレオープン段階にあり、見所が少ないため、旧エリア(南大門)からの入園をお勧めします」とあるし、西門へはほとんどアナウンスされていない未知のルートだが、あの人混みには戻りたくないので、西門を目指すことにした。

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