「中国パンダ基地」空前のブームに沸く現地の様子 身動きできないほどの混雑、どう回るとよい?

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「無限山丘区」を出て同じく新エリアの「冒険渓谷区」に入ると、さらに人は少なくなる。というか、人に会わなくなる。パンダ基地にいるという感覚もなくなる。誰もいない道を10分少々歩くと、再びパンダが過ごす園舎区域があった。

この辺りまで来ると、筆者のように炎天下をふらふら5~6時間歩き回ってたどり着いた暇人か、混雑を避けるために知られていない西門から入って来た人しかいない。そしてパンダの数は、あの混雑していたエリアと変わらない。コスパが違いすぎる。

西門の入場ゲートはがらがらだった。筆者が出たのは午後3時だったが、朝入っても、大して並ぶことはないだろう。西門周辺はショッピング・飲食エリアになっており、新しい建物が並んでいるが、営業している店はごくわずか。文字通り「プレオープン」のようだ。

西門を出たら、最寄りの地下鉄駅「軍区総医院駅」へのシャトルバスも出ている。バスの停留所から地下鉄駅までは300メートル弱あるが、ほかの乗客と同じ方向に歩けば迷うこともないだろう。

結論として、中国の友人が声をそろえて「行かないほうがいいよ」と言ったのは納得だった。パンダというより、人を見に行ったようなものだ。11年前のゆったりとした状況を知っているだけに、「何でこんなにパンダが人気になっているの」と驚かざるをえない。

そして前回来た時よりもエリアが倍に広がっているにもかかわらず、なぜかパンダ基地がそのことを積極的にアナウンスしていないため、増えた人が皆旧エリアに押し込められている。導線の解消も必須だ。

これから成都のパンダ基地に行く人は、西門から入ることも検討したほうがいい。花花、赤ちゃんパンダがいるエリアからは遠くなるが、南門から行っても混雑でほとんど見られないのは同じだ。

パンダ基地は成都以外にも3カ所ある

また、四川省のパンダ基地は成都以外にも3カ所あるので、そちらに行くほうが満足度が高いかもしれない。都江堰市の基地は成都市内から高速鉄道で30分もかからず、同市には世界遺産が複数あって観光客が分散するため、パンダ基地はそんなに混んでいない。

雅安の基地のパンダ(写真:筆者撮影)

シャンシャンがいる雅安市の基地も、地元の旅行サイトに「人がほとんどいない」と書かれるほどすいている。昨今のパンダブームでまあまあにぎわっているが、筆者が7月に訪問したときはゲートで並ぶことはなかった。

最後に、ここに行くならWeChat Payとモバイル決済アプリの「アリペイ」を忘れずにインストールしてほしい。ほかの施設に漏れずほぼキャッシュレスとなっており、飲み物やアイスの自販機はこの2つの決済でしか買えないものが多かった。

浦上 早苗 経済ジャーナリスト

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うらがみ さなえ / Sanae Uragami

早稲田大学政治経済学部卒。西日本新聞社を経て、中国・大連に国費博士留学および少数民族向けの大学で講師。2016年夏以降東京で、執筆、翻訳、教育など。中国メディアとの関わりが多いので、複数媒体で経済ニュースを翻訳、執筆。法政大学MBA兼任講師(コミュニケーション・マネジメント)。新書に『新型コロナVS中国14億人』(小学館新書)。
Twitter: @sanadi37

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