お粗末なロンドンの水道が示す「民営化」の末路 老朽化で水漏れに汚水放流、再国有化に支持

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水道事業が公共の利益を十分に満たしていないと考える国民は増えており、最近の世論調査では、回答者の63%が「水道事業を国営にすべき」と回答している。

「国営と民営、どちらにすべきか?」に対する回答

過去13年間、英国の政権を率いてきた保守党は、相次ぐスキャンダルや政策迷走で、厳しい政治環境にさらされている。7月20日に行われた下院の補欠選挙でも、2つの選挙区を失った。

各種の世論調査によれば、2024年に実施が予想される総選挙では、最大野党の労働党が政権を奪取することが確実と見られている。

再国有化はなくても、公的関与が強まる

前回総選挙で労働党を率いたコービン前党首は、鉄道や公益企業の再国有化を選挙公約に掲げていた。次の首相就任が濃厚なスターマー現労働党党首は、再国有化の公約を撤回したが、労働党支持者の多くが国有化を支持している。

支持政党別「国営」ー「民営」回答割合

水道事業の抱える問題の多くは、再国有化によって解決するものではなく、次期政権が水道事業の再国有化に踏み切る可能性は低いが、規制の見直しなど、何らかの公的関与を強めることが予想される。

今回の水道会社の経営難と2024年の総選挙は、サッチャー元首相が進めた英国の民営化モデルが軌道修正される転機となるかもしれない。

田中 理 第一生命経済研究所 首席エコノミスト

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たなか おさむ / Osamu Tanaka

慶応義塾大学卒。青山学院大学修士(経済学)、米バージニア大学修士(経済学・統計学)。日本総合研究所、日本経済研究センター、モルガン・スタンレー・ディーン・ウィッター証券(現モルガン・スタンレーMUFG証券)にて日、米、欧の経済分析を担当。2009年11月から第一生命経済研究所にて主に欧州経済を担当。

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