「勉強や仕事で苦労しない人」が行う"頭の使い方" 脳の仕組みから考える「本当に効率のよい方法」

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

それは、「鶴の恩返し勉強法」というものです。

「決して私が機はたを織っているところを見ないでください」と姿を隠し、自分を助けてくれた老爺のために、鶴の姿になって機織りをするあれです。あの鶴のように部屋にこもって集中して勉強するのです。

その勉強法とは、声に出しながら、ひたすら書いて覚えます。さらに一度覚えたテキストから目を離し、思い出しながらまた声に出して書き出していく。目で読みながら、声に出しながら、手で書きながら、まさに五感を使って暗記していくのです。

なりふり構わないこの勉強法は、とてもではありませんが恥ずかしくて人には見せられません。なので、そんな様子が鶴の恩返しに似ていることから、「鶴の恩返し勉強法」と名づけました。

後々わかったことですが、この勉強法は脳科学的にも理にかなっていました。

記憶には「短期記憶」と「長期記憶」があり、短期と長期いずれの記憶も最終的に脳の大脳皮質にある側頭葉の側頭連合野に蓄えられます。

暗記ができるようになる秘訣は、いかに覚えたことを長期記憶にできるかどうかですが、私はこの勉強法で覚えたことをうまく長期記憶に移行することができていたのです。

「鶴の恩返し勉強法」はなぜ有効なのか

たとえば英単語を覚えるとき、ただ目だけで単語を見て覚えていくのは難しい。でも、五感を使って勉強すると、うんと覚えやすくなります。

そのメカニズムをお伝えしましょう。

私たちが覚えたことは「海馬」という脳の部位に保存されますが、海馬は短期記憶を長期記憶に移行すべきか否かの判断を行っています。

そのため鶴の恩返し勉強法では目で読みながら、声に出しながら、手で書きながら勉強することで、視覚に加えて聴覚や触覚への刺激が直接脳へ伝わり、記憶を司る部位である海馬が刺激されて記憶が定着しやすくなるというわけです。

最終的に、何度も反復して海馬にアクセスされた記憶は「重要である」と脳が判断し、側頭連合野に送られて長期記憶として保存されるのです。

次ページ多くの人の「To Doリスト」はきっちりしすぎている
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事