「首・肩コリ」に悩む人が知らない本当の原因・対策 現代人が抱える「静的疲労」はストレッチで解消

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人間ももともとは四足動物なので、この反応の名残があると考えられます。実際、ストレスを感じた際に、無意識に肩の筋肉に力が入って、肩をすくめてしまう人が少なくありません。

静的ストレッチを楽な体勢でゆっくりと行うと、ストレスに反応する交感神経の働きが抑えられ、副交感神経の働きが優位になります。ストレスを和らげるには呼吸も大切です。ゆっくりと呼吸を繰り返すことで、やはり副交感神経が優位になります。

仕事や家事で首や肩のコリを感じたら、イスに座って楽な姿勢をとり、鼻から2~4秒かけて息を吸い、口をすぼめた状態で4~8秒かけて口から息を吐く腹式呼吸を1分ほど行いましょう。

次にコリを感じる部分をゆっくり伸び縮みさせ、最後に筋肉を伸ばしてください。最終ページに首と肩の静的ストレッチを紹介しています。

無意識に体をコントロールしている自律神経のうち、交感神経は臨戦態勢へと導き、副交感神経は安定と回復を促す(イラスト:suma/PIXTA)

コリは善後策以上に予防策を

ここまで首コリ・肩コリの軽減・解消法をお伝えしましたが、これは善後策に過ぎません。肝心なのは予防策です。なぜなら首コリも肩コリも作り出しているのは自分自身(の行動や姿勢)だからです。

すぐにできる予防策は、「同じ姿勢を保つ時間をできるだけ短くすること」です。現代は仕事でも、プライベートでも、とかくパソコンや携帯端末の画面を長時間覗き込みながらの作業や視聴に没頭しがちですが、少なくとも1時間に1回は作業を中断して、画面から離れる時間を5~10分取りましょう。この際、先にお伝えした呼吸法やストレッチを行えばさらに効果的です。

次の予防策は、仕事やプライベートで首や肩に負担のかからない姿勢や体勢をとることです。

まず、首の負担を減らすには、頭を下げない工夫が必要です。冒頭で申し上げたように、頭の重さは体重の8~9%程度もあります。視線と顔を前に向け、頭が体の真上に乗った状態では、首周りの筋肉だけで十分に頭を支えられます。しかし、視線が下がって首が30度前傾するとその負担は3倍、60度前傾した場合は6倍程度にまで跳ね上がってしまいます。

パソコンを使用する際は、目線と顔が正面を向くデスクトップが理想ですが、ノートパソコンやタブレット端末を使用する場合は、ノートパソコンスタンド(ノートパソコンを目線の位置に接地するスタンド)を利用しましょう。

ただし、これを使うとキーボードが斜めになるため、手首を大きく曲げなければ操作できなくなり、手首の関節と手首を曲げる前腕の筋肉の負担が増してしまいます。できれば外付けのキーボードを使用することをお勧めします。

続いて、肩の負担を減らすには、作業中に腕を机から浮かさないようにするのが効果的です。前腕部を乗せられるアームレストや、リストレストを利用しましょう。こういったグッズは2000円前後からあります。長い目で健康のことを考えれば、安い買い物だといえるでしょう。

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