"できるママ"が集まる企業の「仕掛け」とは? 4社の実例で効果的な手法が分かった!

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アクウェストは現在、歯科向けコンサル事業を強化している。実は歯科業界、スタッフの9割を占める女性が働きやすい職場を作ることが課題となっている。国家資格の歯科衛生士の資格を持ちながらそれを生かさず眠らせている人が多い一方、歯科衛生士を採用したいという医院は多く、人材のミスマッチが生じているのだ。その課題解決に向けて6月上旬、歯科衛生士を対象にしたマッチングサービスを開始する予定だ。

「『どうせすぐ辞めるだろう』と思っているせいなのか、社保完備の医院は少なく、安定を求める女性にとって就業環境はよくない。子育てなどでキャリアを中断した女性がスムーズに復帰できる仕組みを作ることが、業界にとってますます重要になる」と高崎宏之社長。「母親が子どもの面倒をみてあげたい気持ちもよくわかるので、働きたいときに”がっつり”とは違うスタイルを掘り起こしていきたい」と猪野さん。それこそ、多くの女性が待ち望んでいる働き方に違いない。

ケース4 グーグル
インターンシッププログラムに残ったのは優秀な女性ばかり

グーグルでは、5年以上の業務経験があるものの、職場やキャリアから半年以上離れているプロフェッショナルを対象としたインターンシッププログラム「gCareer Program」を実施している。

2013年、2014年に続き2015年も実施する方向で調整中だ。担当するダイバーシティビジネスパートナーの山地由里さんは、「初回に4ケタの応募があり手応えを感じました。女性に限ったプログラムではないのですが、結果として採用したのは女性ばかり。うち半分以上が正社員になりました」と言う。

プロフェッショナルを対象としたプログラム

柔軟な働き方ができるようプログラムを工夫していると話す山地由里さん(左)と、出産後になるべく早く復帰したかったと語る瀬戸川紀子さん

2014年のインターンシップ期間は16週。お試しの意味もあるので、週40時間ではなく30時間勤務とし、チームや上司と相談のうえ在宅勤務を組み入れるなど、それぞれの事情に合わせて運用するというから本格的だ。

インターン終了後、正社員として契約しなかった人の中には、「まだ自分が働く時期じゃないと判断した人もいたし、グーグルではないフィールドで働きたいと気づいた人もいる。そういった場合、ほかの企業に求められれば推薦することもあります」(山地さん)。

瀬戸川紀子さんは、インターンを経て社員になった一人。大学院卒業後7年働いたシンクタンクでは、リスクマネジメントの仕事に従事していた。夫の海外転勤のために退社して一緒に渡米。帰国して2013年5月に出産し、3~4カ月後に復帰を考え始めたところに見つけたのが、gCareerProgramだった。

「退社できる時間がきちんとしている会社がいいと人材コンサルタントに希望を出していたのですが、そうするとなかなか紹介案件がなくて。秘書系の仕事だったらありそうと、検討しているときでした。グーグルは、お母さんに限らず社員がフレキシブルな働き方をしているとあったので、挑戦してみようという気持ちになりました」(瀬戸川さん)。

11月からインターンを開始したが、ネックは保育園だった。ようやく見つけたのが職場近くの保育園で、最初のころは一緒に通勤していたという。

現在、ネット広告の不動産チームに配属され、クライアントに提案書を書いたり、アドバイスをしたり、ユーザー調査をしたり、といった仕事を担当している。「正社員になりたいと思いました。前職でやっていた分析スキルが使えるという実感を持つこともできましたし、やっぱり働くのっていいなと。仕事と育児を両方やっているとバランスがとれる。グローバルな雰囲気が好きなこともあるし、グーグルはカルチャーが明るいですね」と話す。

子どもが小さいこともあり時短勤務で働いているが、いずれフルタイム勤務へ切り替えることも考えているという。

今回は4人のケースを取り上げたが、そこから浮き彫りになるのは、小さな子どもを持つ女性の中に優秀な人材が多く存在し、ある程度柔軟な働き方さえ可能になれば、そういった女性たちのパワーを活かすことができるということだ。ベンチャー企業やグーグルの事例は、多くの示唆を与えてくれる。

高橋 志津子 東洋経済 記者

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たかはし しづこ / Shizuko Takahashi

上智大学法学部国際関係法学科卒。東洋経済新報社に入社後は、会社四季報、週刊東洋経済、ムック、東洋経済オンラインなどさまざまな媒体で編集・執筆を手掛ける

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