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〈書評〉『仏教を「経営」する』『可視化される差別』『間違いだらけの日本の物流』/現代の宗教組織が直面する「正統性の再構築」という難題

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ブックレビュー『今週の3冊』

 

[Book Review 今週のラインナップ]

・『仏教を「経営」する 実験寺院のフィールドワーク』

・『可視化される差別 ―統計分析が解明する移民・エスニックマイノリティに対する差別と排外主義』

・『間違いだらけの日本の物流』

『仏教を「経営」する 実験寺院のフィールドワーク』藏本龍介 著
『仏教を「経営」する 実験寺院のフィールドワーク』藏本龍介 著(書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします)

評者・神戸大学教授 砂原庸介

宗教は何のためにあるのか。そう問われれば、魂の救済など、個人に引き付けた答えは出てきやすい。では、組織としての宗教団体は何のためにあるのか。真理の追究や広範な布教は、確かに組織のほうがやりやすい。しかし組織が掲げる目的は、個人が追求しようとする目的と常に重なるだろうか。

そんな疑問が生まれるのは、基本的に宗教団体が経済的な生産活動へ関わらないからだ。金銭的価値を生み出さず、世俗と呼ばれる外部からの資金に依存して運営される。組織の中核でないどころかその外部の人々が、金銭資源を組織に捧げるわけだ。組織と個人の目的が重なり、「それが正しい」という理念が共有されていればよいが、そうでなければこのあり方は維持できない。

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