
なぜ、いま大企業がスタートアップの創出に力を注ぐのか。
企業の100年後の生存率はわずか0.03%と言われている。この数字は、どんな大企業でも、未来永劫安泰とは限らないということを如実に物語っている。そんな中、名だたる企業各社が生き残りをかけて、新たな事業の創出に乗り出している。
既存事業一本足打法からの脱却
ドリームインキュベータの調べによると、東証プライム上場企業の売上高上位100社のうち、新規事業部門を設立した会社の割合は、年々増加の一途をたどり、2021年には8割を超えた。
花王「01KAO」、サントリー「FRONTIER DOJO」、ANA「Da Vinci Camp」、Honda「IGNITON」、三井不動産「MAG!C(マジック)」など、業種業界を問わず、大手企業各社が社内新規事業制度を立ち上げている。
私が舵を取る博報堂グループのスタートアップスタジオ「quantum(クオンタム)」でも、大企業からの新規事業開発やスタートアップ創出に関する相談が後を絶たない。
大企業が新規事業の開発に着手し、自社発のスタートアップ創出に取り組む最大の理由は、企業の存続をかけて、既存事業の一本足打法から脱却するためだ。
誰もが予想しなかったコロナ禍で、旅行業、交通運輸業、宿泊飲食業をはじめ、多くの企業が未曾有の大打撃を受けたのは私たちの記憶に新しい。さらにこれまで人手が必要とされていた仕事が、ここ1、2年で急速にAIに代用されるという現象が起きている。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら