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増加が続く大企業によるスタートアップの立ち上げ。拡大する理由と、成功・失敗を分ける「境界線」

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大企業によるスタートアップの立ち上げが増えている (写真:78create/PIXTA)

なぜ、いま大企業がスタートアップの創出に力を注ぐのか。

企業の100年後の生存率はわずか0.03%と言われている。この数字は、どんな大企業でも、未来永劫安泰とは限らないということを如実に物語っている。そんな中、名だたる企業各社が生き残りをかけて、新たな事業の創出に乗り出している。

既存事業一本足打法からの脱却

ドリームインキュベータの調べによると、東証プライム上場企業の売上高上位100社のうち、新規事業部門を設立した会社の割合は、年々増加の一途をたどり、2021年には8割を超えた。

生成AIの登場に加えて、金融引き締めによる資金調達の難しさ、人材獲得競争の激化……スタートアップをめぐる環境は大きく変化している。週刊東洋経済の恒例特集「すごいベンチャー」を連載化

花王「01KAO」、サントリー「FRONTIER DOJO」、ANA「Da Vinci Camp」、Honda「IGNITON」、三井不動産「MAG!C(マジック)」など、業種業界を問わず、大手企業各社が社内新規事業制度を立ち上げている。

私が舵を取る博報堂グループのスタートアップスタジオ「quantum(クオンタム)」でも、大企業からの新規事業開発やスタートアップ創出に関する相談が後を絶たない。

大企業が新規事業の開発に着手し、自社発のスタートアップ創出に取り組む最大の理由は、企業の存続をかけて、既存事業の一本足打法から脱却するためだ。

誰もが予想しなかったコロナ禍で、旅行業、交通運輸業、宿泊飲食業をはじめ、多くの企業が未曾有の大打撃を受けたのは私たちの記憶に新しい。さらにこれまで人手が必要とされていた仕事が、ここ1、2年で急速にAIに代用されるという現象が起きている。

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