小5・偏差値26から中学受験を目指した少女の結末 プロスポーツ選手目指す子が味わった"差別"

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「合否よりも大きなものを、受験を通して私たち親子は受け取ったような気がします」と語る、母親の香奈さん(写真:筆者撮影)

今年の4月、首都圏に暮らす大山夏音(仮名)さんは、ぎこちなくブレザーを羽織り、新しい学校の門をくぐった。成長を考えたのだろう。少しオーバーサイズなブレザーが新入生である証しかのように、彼女の肩を優しく包む。「この学校で、私は世界に羽ばたいてみせる」。悔し涙を流した日から2カ月、夏音さんのまなざしはすでに前に向かっていた。

一流のプレーヤーになるために

「わたしもやっぱり私立に行きたい!」

上に2人の姉を持つ夏音さん。長女は地元の公立中学から高校へ、次女は6年生から通塾をはじめて第一志望の私立の伝統女子校に合格していた。受験を目指すことにしたのは、姉たちの状況を見てというところも大きいだろうが、夏音さんが受験を考えるきっかけはそれだけではなかった。彼女はあるウィンタースポーツのチームに所属しており、将来はプロの選手として活躍することを夢見ていた。

しかし、日本ではまだ女子の競技選手は少なく、彼女の所属チームでは、練習も男子と合同で行われていた。小学校高学年になったある日、アメリカで暮らす日本人の女子選手Aさんと話す機会に恵まれた。その女性は競技だけでなく勉強にも励み、日本の国立大学を経てハーバード大学に留学、勉強しながら現地のチームで練習をしているという。プロには選ばれていないものの、アメリカは男女関係なく練習の機会も得られるという話をしてくれた。

「Aさんが言ってたの。スポーツだけでは食べていけない。他にも得意なことが必要だって。だから、セカンドキャリアも視野に入れた方がいいんだよね。私も海外に渡って留学して学びながらプロを目指したい」(夏音さん)

これが、夏音さんが中学受験をしたいと言い出した理由だった。その後、夏音さんは自力で情報を収集し、母に学校の資料を見せるようになった。

小学校の先生と衝突することもあった夏音さん。好き嫌いが激しいと一言で済ませるのは大人の理屈なのかもしれない。大人を「嫌い」と思う時、子どもには子どもなりの理由があるのだ。

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