小5・偏差値26から中学受験を目指した少女の結末 プロスポーツ選手目指す子が味わった"差別"

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中学受験の場合、難関校の大半は国語、算数、理科、社会の4教科の試験を課しているが、準難関校や中堅校では国語と算数の2教科で入試に挑める学校が多くある。大山家は次女の受験でも2教科の勉強に絞り、第一志望校の合格を手にした経験があった。

「今からだってきっと大丈夫」

両親に不安はなかった。

ところが、だ。入塾してしばらくすると、夏音さんが「塾の先生が合わないから塾を変えたい」と言い出した。どこが合わないのかと聞いても「とにかく嫌」の一点張り。同じ栄光ゼミナールで個別指導も試したが、ここでもしっくりくる講師には出会えず、やむなく別の塾を探すことにした。

訪れたのは地元では知られた個別指導の塾だった。個人経営ではないが、大手とまではいかない。しかしここでも合う先生が見つからずに終わる。そして、最後に訪れたのがトライプラスだった。トライと聞くと、中学受験塾という印象は薄いのだが、夏音さんはここが気に入った。

「上の姉が通っていて、一緒に通えるのがよかったのかもしれません」(母・香奈さん)

お姉ちゃんが通う塾。子ども扱いを嫌う夏音さんにとってはここも魅力だったのかもしれない。

6年生の夏も習い事の合宿に参加

個別指導を選んだのにはもう一つ理由がある。それは、習い事との両立だ。集団指導の塾では学校と同じで時間割が決まっているため、自分の予定に合わせて曜日と時間を決めることができない。夏音さんの場合はチームでの練習を続けることが最優先事項だったため、集団塾は両立が難しいと感じた。

かといって、個別指導で中学受験を専門に扱う講師のいる塾の場合、周りと比べて勉強時間が取れていないことをまざまざと見せつけられる。そんな環境も、夏音さんにとっては「嫌」の原因だったかもしれない。多くの中学受験生が夏期講習に通う6年生の夏休みも、夏音さんは2週間、練習合宿に参加していた。

それでも、6年生に入ってからは成績も上がり、模試の結果も算数は苦戦するものの、国語の偏差値は安定して50を超えていた。そして、2教科偏差値も40台後半から50台前半を行き来するようになっていた。

そんな夏音さんが第一志望校にしたのはサレジアン国際学園世田谷(サレジアン世田谷)だった。2023年に女子校の目黒星美から校名を改めて共学化することが決まっていた学校で、夏音さんの学年はその一期生の募集の年にあたる。

昨年までの偏差値帯ならば射程範囲の学校だった。だが、共学化の募集初年度のため、偏差値や倍率が読めない。女子校の目黒星美時代には偏差値表40台の枠に位置していた学校だが、首都模試の偏差値表では幅があった。実際に学校説明会に参加するとあふれるほどの親子が来ていた。教育内容についての学校側からのプレゼンも素晴らしいものだった。

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