――新電力の最大手として、エネルギーミックス(電源構成)の重要性をどう考えていますか。
エネルギーにはそれぞれ長所や短所があり、バランス良く組み合わせることが大事だ。その意味で、電源構成の目安を決めることは意義があると思う。議論に当たっては、コストや安全性、CO2(二酸化炭素)の問題などを総合的に判断して決めていくことが重要だ。
エネルギーミックスを考えるうえでは、全体の需要量を節約する省エネルギーも重要な位置づけになる。そして、これからは電力自由化の仕組みを活用したスマートサービスが、省エネにとっても効果が大きいと考えている。エネルギーの供給システムの中に、需要家の視点を取り入れることがポイントだ。
当社でも、「ディマンドレスポンス」(電力ピーク時の節電による料金割引)や「見える化」(電気使用状況のわかりやすい情報提供)といったスマートサービスを提供している。ディマンドレスポンスでは、当社から顧客に節電をお願いするシグナルを送り、それを顧客が受けることによって節電を行い、料金が下がる。当社にとっても、仕入れ値の高いピーク時の電力が減ることでメリットが出る。当社の顧客のピークカット効果は20~30%にも及んでおり、こうしたサービスが全国的に広がった場合のポテンシャルは大きいと感じている。
節電電力(ネガワット)という考え方
節電すればネガワット(需要家の工夫による需要の削減=節電電力)が生まれる。ネガワットは基本的に、ポジワット(発電電力)と同じ効果がある。ネガワットによって、ピーク時に運転される火力発電所が一部不要になるなど、社会的コストの低減にもつながる。
――経産省案では省エネによって2030年の電力需要を17%削減できるとしています。
省エネについては、これまで経産省の旗振りによる「トップランナー制度」(省エネの基準を現在最も優れた性能を持つ製品に合わせる方式)や業界単位での施策はいろいろ行われてきた。今後はさらに、将来的に有効な技術をもっと加えて省エネを考える必要があるだろう。
これまでは企業単位や業界単位で効率を上げることが中心だったが、ディマンドレスポンスのように供給側と需要側を結びつけて全体最適を図る仕組みや、ハードウエアにソフトウエアをうまく組み合わせて省エネをしたり、異なる業界で一緒に省エネを考えたりすることが新しい発想やイノベーションを生み出していく。そのための制度やプラットフォームも必要だと思う。
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