「原子力の技術と人材を維持することが重要」 どうする電源構成<2> 21世紀政策研・竹内氏

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福島第一原発は廃炉作業が今後の課題に(写真:日本雑誌協会代表撮影)
経済産業省が審議している、2030年時点における電源構成のベストミックス。有識者のインタビュー2回目は、日本経済団体連合会のシンクタンクである21世紀政策研究所で研究副主幹を務め、NPO法人国際環境経済研究所の理事・主席研究員でもある竹内純子氏に聞いた。竹内氏は東京電力出身(1994~2011年に在籍)で、近年『誤解だらけの電力問題』を著すなど、エネルギー政策や地球温暖化対策で活発に意見を発信している。

――電力市場の自由化が進む中で、2030年の電源のベストミックスを決める意義をどう考えていますか。

2030年というと遠い将来のように考えられるが、電力業界にとって15年後は「明日」のようなものだ。火力発電所を建設するにもアセスメントを含めて10年以上かかる。再生可能エネルギーの中でも地熱などはやはり開発に長期を要する。東電の東通原発は誘致決議から着工まで40年もかかっている。15年後の電源をどのように賄うかを議論しておくことは、どのような制度改正があろうとも必要なことだ。

――経産省は電源構成を決める前提としての2030年時点の電力需要全体について、2013年度比約1%増の9808億キロワット時と試算しました。これは、年率1.7%の経済成長を前提に、省エネ対策で電力需要を約17%削減することで実現するとしています。

2000~10年のトレンドを見ても、GDP成長率と電力消費量はリンクしている。年率1.7%成長を前提とするならば、省エネ対策を織り込む前の2030年時点の電力需要は本来なら1.3兆キロワット時になる。それを1.17兆キロワット時に抑えたのは、妥当性に疑問がある。省エネで17%削減というのも、期待値が高すぎはしないか。つまり、電力消費量を少なく見積もり過ぎているのではないかと思う。

原子力25%が理想だが現実は厳しい

――電源構成の具体的な比率はどうあるべきと考えますか。

本来は電源別のコストを検証したうえで議論すべきだが、個人的に電源構成は原子力25%、火力50%、再エネ25%ぐらいが理想だと考える。すべてをバランスよく持つことが大切だ。

――原発比率25%が理想という理由は。

発電コストや安定供給・安全保障、CO2などさまざまな観点から、日本は原子力を使わざるを得ない。今後、原子力が世界で導入されていく中で、3.11を経験した日本だからこそ、安全な技術を世界へ提供していくならば、日本の中に技術や人材が維持されなければならない。そのために最低限、25%程度が必要ではないかと思う。

――「できるだけ原子力依存度を低減する」という政府公約からすると、25%は高すぎるのでは(震災前の2010年度は約29%)。

確かにそうした印象はあろうが、依存というのは1つの電源で50%以上を占め、それが絶たれると立ち行かなくなるような状況と理解すべきだ。民主党政権時のエネルギー基本計画(原子力比率約50%)のようなことはしてはならない。四分の一(25%)というのは、他で頑張ればカバーできる水準だ。

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