川内原発、稼働差し止め仮処分却下の理由

住民は火山審査や避難計画の不当性を問題視

九州電力の川内原発は稼働差し止めが却下されたが、避難計画の不備など課題も残されている

鹿児島地方裁判所は22日、九州電力川内原子力発電所1、2号機の稼働差し止め仮処分を求める住民の申し立てを却下した。16日に福井地裁が関西電力高浜原発3、4号機に対して下した決定とは真逆の結果となった。これで川内原発は、1号機から今夏中に再稼働する可能性が高まった。

鹿児島地裁の決定文によると、原子力規制委員会が安全性審査の基準として策定した新規制基準について、「最新の調査・研究を踏まえ、専門的知見を有する原子力規制委員会が相当期間・多数回にわたる審議を行うなどして定められたものであり、最新の科学的知見等に照らし、その内容に不合理な点は認められない」とされた。新規制基準は「緩やかにすぎ、合理性を欠く」とした福井地裁の判断とは大きく食い違うものだ。

福井地裁の決定と真逆の判断に

鹿児島地裁は川内原発の地震対策に関し、「将来の自然現象の予測に伴う『不確かさ』を相当程度考慮して基準地震動(想定する最大の地震の揺れ)を定め」、川内原発の耐震設計を行っているとして、規制委の判断に「不合理な点は認められない」と判定した。この点、福井地裁は、基準地震動は揺れの最大値ではなく「平均像」であり、「実績のみならず理論面でも信頼性を失っている」と判断していた。

また、焦点の一つとされていた火山審査について鹿児島地裁は、「その評価は火山学の知見により一定程度裏付けられているといえるから、原子力規制委員会が示した新規制基準への適合性判断に不合理な点は認められない」とした。

さらに、地方公共団体が策定した避難計画を含む緊急時対応についても、住民側は不備を指摘していたが、鹿児島地裁は「現時点において一応の合理性、実効性を備えているものと認められる」と判断した。

そして鹿児島地裁は、住民らの「人格権が侵害され又はそのおそれがあると認めることはできないから、本件仮処分命令の申し立てには理由がない」と結論づけた。

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