――どのような制度ですか。
たとえばネガワット市場の創設だ。それぞれの需要家がネガワットを生み出したときに、それを市場で取引できる仕組みだ。頑張って省エネをやったところはメリットが出るし、電気が足りなくて欲しいという顧客は市場からネガワットを購入することができる。こうしたプラットフォームを整えることによって、それぞれのネガワットが積み重なって、トータルとして皆が活用できる仕組みができるだろう。経産省が3月に出したガイドラインは、市場創設に向けた第一歩といえる。当社もそうした供給力は利用したいと考えている。
――来年4月から電力小売りの全面自由化が始まり、低圧の家庭向けや小事業者向けの市場が開放される。エネットも低圧市場への参入を表明していますが、家庭向けにもディマンドレスポンスなど同じようなサービスを展開していきますか。
その方針だ。これまで当社がマンションを含む高圧市場で提供してきたような見える化サービスやディマンドレスポンスが低圧の法人や一般家庭で使われるならば、かなり大きな省エネ効果が期待できるだろう。
――企業の場合は、料金が5%程度安くなると言われますが、家庭の場合はもっと大きな料金低下メリットが期待できますか。
10%を超える効果は出てくると思う。生産が優先される企業と比べ、家庭の場合は融通が利きやすい。昼間の電気料金が高いときにアイロンがけをする必要もない。ピーク時の節電によってポイントがたまり、電気料金が安くなるのであれば、工夫して節電しようという家庭も増えるだろう。結果的に合理的な電気の使われ方になっていく。
公的性格の強い原発の電気を卸取引市場へ
――経産省は望ましい電源構成として、原子力発電と再生可能エネルギーの比率をそれぞれ2割強と想定しています。
新電力の立場から考えると、顧客からは経済的に安い電気や、CO2の少ない電気など多様な要望をいただいている。こうした声に応えることに重点を置きたいため、選択肢を狭めないでほしいというのが当社としての考え方だ。
――原発の重要性については、どう考えていますか。
原発が再稼働した場合に、その電気がどのように取り扱われるかが重要なポイントになる。原発の廃炉の費用に税金が充てられるなど、原発の公的な性格が強まっていくのであれば、イコールフッティングの競争の観点から、原発の電気の利用のあり方についても検討されるべきだ。ベースロード電源である原発の電気を卸電力市場に流すことで、みんなが中立公平に使える仕組みにすることが大事だと思う。
公的な性格という意味では原発の電気に限ったことではなく、大型の水力発電や火力発電もそうだが、大手電力会社が持っている電気の30%ぐらいは卸電力市場に出すような仕組みにしてもらいたい。卸電力市場を活性化させることが、電力システム改革での競争を促進することにつながる。
――自然由来の電気に対する需要も高まると予想されます。
再エネについては、当社も供給力としてとらえたいと考えている。顧客からグリーンな電力を供給してほしいという要望もある。そういう声に応えていきたい。ただ、どのぐらいの原価になる電源かというのも関係する。われわれ小売りで使えるレベルになるかが問題だ。
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