1泊10万円でもすぐ埋まる「箱根バブル」の現状 インバウンド客が訪れ、タクシー利用は1時間待ち

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全国ハイヤー・タクシー連合会が発表した、2022年度の調査によると、神奈川県のドライバーの年間推計収入額は約386万円。これは大阪、東京に次ぎ全国3位の水準に該当する。

前出のタクシー会社の社員は、「地元に住む高齢の富裕層は箱根から東京への往復、といったオーダーも珍しくなく、それだけで1日分の売り上げが立ちます。さらに観光での貸し切りの営業の割合も多い。

県内でタクシー需要が強いとされる横浜や鎌倉と比べると、乗車回数では大きく下回るが、単価が高いのが箱根の特徴。移動エリアが広いこともその傾向を強めています。客層も非常に良いので、乗務員にとって働きやすいポイントです」と言う。

高級宿もインバウンド客で埋まる

箱根で宿を営む経営者の男性は、現在の観光事情と外国人客の移動についてこんなことを話してくれた。

「今の箱根では、大げさではなく9割がインバウンド客という宿も出てきています。特に高級宿ほどその傾向にあり、10万円を超える金額でも宿は埋まっていく状況です。

実はコロナ禍でも、箱根は他の観光地ほど大きなダメージを受けなかった面もあります。テレワークプランや若い女性向けのプランを打ち出して、東京からのアクセスの良さから多くの旅行者が訪れたためです。それに合わせて、オシャレなカフェやイタリアンができたり、蕎麦屋や寿司屋さんを目的とした日帰りの観光の方も多かった。

ただ、外国人の方は移動手段をタクシーに限られていることが多く、利用できないケースが続出しています。町としても、この辺りは対策していく必要性があると感じます」

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