時間と気持ちにゆとりが持てなくなると、自宅でも子どもたちに厳しくうるさく接するようになってしまう。体調を崩した時期もあり、この半年間は子どもたちに関して、十分にケアができなかったという悔いがある。
成長した子どもたちからの励ましが力に
しかし、それでも仕事を辞めずに続けたのは、「これまで歯をくいしばって頑張ってきたのだからここで辞めたらもったいない」という気持ちで自らを奮い立たせてきたからだ。そして、何よりも大きかったのは成長した子どもたちからの励ましだった。
「体調管理に苦心する私を見ていた長男が子どもながらに心配して、話を聞いてくれるんです。話しながら気持ちが整理され、仕事を通じて自分が新たに成長していることに気づき、それが力になりました」
上野さんが当初思い描いていた”子どもたちの社会”も、できつつある。多忙な時期は、真ん中の小3の娘が年長の二男を習い事に連れていき、お風呂に入れて上野さんの帰りを待つ。夜も3人だけでも眠れるようになり、上野さんの寝かしつけも必要なくなってきた。
「いずれ子どもから手が離れたとき、後に残るのは”自分の居場所”。だから仕事は一生続けたい。そのためにはまだもうひと踏ん張り。変化に直面してもうまくこなしていくことで、未来につながっていくのでは」
つねに時間が足りず、時短や効率化のためのたゆまぬ努力が欠かせない生活。そこまでしても、仕事を手放したくないのは、仕事が自己実現の場であるから。前進し続け、変わっていきたいという成長欲求がある。仕事でかかわる人々や仕事から得られるものが捨てがたいと、上野さん。
そして、頑張るワーキングマザーに対するいちばんの特効薬は、夫からの評価であり、感謝の言葉であり、家事や育児を協力してくれるいたわり。その意識が変われば、複数の子どもをもって働く女性がきっと増える。上野さんは願いを込めて、明るく語った。
(撮影:ヒダキトモコ)
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