主婦が働きたいと思ったとき、まず考えるのは会社勤めだろう。だが、手先が器用で腕に自信がある人にとっては、それだけが選択肢ではない。
オンラインのハンドメイド・マーケットプレイスが活況となってきた昨今、ハンドメイド作家の活躍の場が広がっている。小さな子どもを育てながら“作家”として稼ぐこともできるのだ。
育児との両立のカギはやはり「家族の協力」
2007年に「版画工房Nao」を設立し、現在は2歳半になる男の子を育てながら作家活動を続けている版画作家のおさのなおこさん。版画のモチーフは、猫、日用品、天使、風景、抽象画などさまざまで、どこか懐かしさと温かみを感じる世界観が魅力的だ。
「小さな頃から作ること、絵を描くことが好きで、ずっとクリエイティブな仕事がしたいと思っていた」と言うおさのさん。美術専門学校で版画を専攻し、卒業後には八ヶ岳山麓にある創作工房にて、版画制作をしながら木工オブジェ・建築・農の基礎を学んだ。20代の大半を過ごした八ヶ岳では、創作活動よりも家を建てたり畑を耕したりなどの時間のほうが多く、「学校では教えてもらえないことを体得できた」と振り返る。
八ヶ岳での生活で出会った伊藤大悟さんと2011年に結婚。現在は東京の町田市に居を構えている。2012年10月に出産し、その後しばらくは制作活動を完全にストップしたが、子どもが6カ月の時に保育園の入園が決まり、徐々に制作を再開。しかし、まだまだ手がかかる月齢だ。危ない薬剤を扱う作品もあり、なかなか思うように作品作りができない。一つひとつ手作業で仕上げていくため時間もかかる。育児との両立に苦労を感じながらも、「夫をはじめ家族の協力があってこそ」と話す。事実、作品の額縁などは木工が好きだというご主人が制作し、経理面なども担当。おさのさんが少しでも制作に集中できるよう、協力を惜しまない。
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