法律も無意味「女性が出世できない国、ニッポン」 ジェンダーギャップ指数125位も驚きはない

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岸田首相は女性の役員の割合を2030年までに30%に引き上げるとしているが、今の状態では過去の首相と同じ達成できない高い目標で終わる(写真:Luce/PIXTA)

146カ国中、125位――。6月21日に世界経済フォーラム(WEF)が発表した2023年版の「ジェンダーギャップ報告書」では、日本は男女平等において前回の調査を下回る結果となった。

政治分野での女性進出の遅れが理由と指摘されているが、経済参画で見ても日本の遅れっぷりはなかなかのもので、経済参画と機会の項目では146カ国中、123位となっている。歴代の首相が「女性の管理職比率向上」を掲げながら、目標が「絵に描いた餅」状態にとどまっているのはなぜなのか。

高い目標を発表する癖がある岸田首相

スリリングな瞬間だった。日本の首相が民間企業の女性管理職の割合を30%に引き上げる、と宣言したのだ。その首相は小泉純一郎氏で、2003年にこの約束をした。その10年後、安倍晋三元首相は同じく2020年を期限に30%の約束を繰り返した。その2年後、同元首相は目標を15%に半減させた。そこからさらに10年近く経った今、また別の首相――今度は岸田文雄首相――が企業の女性役員の30%以上を女性にすると宣言した。今回も7年後に約束されている。

岸田首相は、安倍元首相やその前の首相と同様、目標を現実にするための効果的な対策を立てずに、高い目標を発表する癖がある。委員会を設置して対策を練ると言っているが、スタートアップ企業の創出、出生率の向上、所得の偏在の是正、原発の再稼働など、他の大きな課題に関しても同じことを行っており、実際の成果はほとんどない。

しかも岸田首相の目標は、前任者たちの目標よりもはるかに野心的ではない。岸田首相が言及したのは経営者だけで、すべての管理職ではない。さらに、同首相がこの目標を掲げたのは、日本の労働者のごく一部しか雇用されていない、上場する一流企業だけである。

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