日本郵政の株主が問題視「経営ビジョンがない」 総会では増田社長が「郵便局の統廃合」にも言及
業績や荷物量をどう伸ばすのか、低迷する株価の対策は何か――。
6月21日に開催された日本郵政の株主総会は、経営に危機感を持つ株主から多くの質問が寄せられた。総会には株主310人が出席し、1時間21分で終了した。取締役15名を選任する議案は承認されている。
昨今の日本郵政グループは問題が続出している。かんぽ生命保険の不適正な募集問題に続き、今年は日本郵便で下請け業者への買いたたきが発覚。郵便局の移転や建て替えで虚偽報告が横行していたことも明らかになった。
一方、6月19日には競合のヤマトホールディングスと協業し、メール便や小型荷物の投函ビジネスで全面的な委託を受けることも決めた。具体的な成長戦略をどう打ち出すのか、株主は厳しい目で見守っているようだ。
結局、郵便局は統廃合するのか?
事前に寄せられた質問に対しては、議長を務める増田寬也社長が回答した。株価の低迷について「経営陣も謙虚に受け止めている」とし、DXや各事業の成長、SDGsの取り組みなどで企業価値の向上に務めるとした。安定的な配当の実施、自己株買いにも意欲を示している。
また、増田社長が5月、日本経済新聞のインタビューで郵便局網について「整理が必要になる」と述べた点について「本当に削減するのか。地方の過疎化に拍車をかけるのではないか」と質問があった。
増田社長は、来局者数が減少する中、新たなサービスを提供して顧客を増やす方針を説明。「経済合理性だけでその是非を判断するわけではない。自治体をはじめ地域の皆様のご意見を伺い、時間をかけて丁寧な議論を行いたい」と整理については明言を避けた。
主な審議は次の通り。荷物の減少や今後の戦略について具体的な説明を求める質問が寄せられた。また、株主の質問は10人、12問で打ち止めとしている。
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