日本郵政「正社員の"有休削減"」が示す重たい意味 「同一労働同一賃金」で労働条件の引き下げはOK?
労働条件の不利益変更は法的に「簡単ではない」
この夏期・冬期の有給休暇制度は、日本郵政グループにおける正社員と期間雇用社員の同一労働同一賃金違反についての一連の裁判の中で、2020年10月、最高裁が「正社員と非正社員の間に不合理な格差がある」と判示した労働条件の1つで、日本郵政グループがどのように改善を行うかが注目されていました。
今回明らかになったその結末は、期間雇用社員に1日の夏期・冬期の有給休暇が与えられることとなった反面、正社員側は、休暇日数が3日から1日に削減され、休暇制度の縮小均衡により同一労働同一賃金を図るという着地点でした。
同一労働同一賃金は、法律および社会の要請であることは確かですが、今回の日本郵政グループの対応のように、正社員の労働条件を切り下げる形で実現することは可能なのでしょうか?
仮に合法になる余地があったとしても、労務管理のあり方として妥当性はあるのでしょうか?
本稿では、その点を掘り下げていきたいと思います。
日本郵政グループの事例では、「労働組合が会社提案を受け入れる」ことで、正社員の夏期・冬期の有給休暇日数の削減を行うことを実現しようとしています。
実は、このような包括的な形での労働条件の切り下げが可能なのは、日本郵政グループに労働組合が存在するからです。労働組合が会社と締結した労働協約は、それが労働者にとって有利な内容であれ不利な内容であれ、傘下の組合員を拘束します。
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