元Google人事が説く管理職がやりがちなNG行動 エンジニアの心理的安全性を下げる行動とは?
ここ数年で「心理的安全性」という言葉の認知が広がっている。
とくに、人材不足が課題となっているIT業界においては、エンジニアのエンゲージメントを高めたり、離職率を下げたりするために心理的安全性の高い職場づくりに取り組むマネジャーも多いのではないだろうか。
心理的安全性が高い「Kind」なチームとは
しかし、「心理的安全性の高い組織」を、「対立のない組織」「チームみんなの仲がいい組織」だと考えているとしたら、認識のアップデートが必要だ。
「エンジニアが意欲的に働ける組織とは、何に対しても『いいね、いいね』と肯定することをよしとする『Nice』なチームではなく、時には否定することも恐れず、率直な意見のやりとりができる『Kind』なチーム。
ただただメンバーを肯定するだけでは、心理的安全性はむしろ損なわれかねません」
そう指摘するのは、Googleで人材開発等に従事した経歴を持ち、『心理的安全性 最強の教科書』(東洋経済新報社)の著者であるピョートル・フェリクス・クジバチさん。
エンジニアが意欲的に働ける、本当の意味で心理的安全性の高い組織をつくるにはどうしたらいいのか。日本のマネジャーが誤解しがちな「心理的安全性」の基本と合わせて聞いた。
──ピョートルさんは著書『心理的安全性 最強の教科書』の中で、チームが最高の成果を生むためには心理的安全性が欠かせないと説いていますよね。ここ数年でこんなにも「心理的安全性」が重視されるようになった背景をどのように考えていますか?
背景には、働き方のパラダイムシフトが起こったことがあると思います。
産業革命によってモノの生産が工業化され、1970〜1980年代頃には生産力の向上により経済が急成長。時期を同じくして、その背景にある労働環境の課題に目が向けられるようになっていきました。