元Google人事が説く管理職がやりがちなNG行動 エンジニアの心理的安全性を下げる行動とは?

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心理的安全性を高めるために必要なのは「NiceではなくKind」な姿勢。「楽しく盛り上げること」ではなく、「親身になること」が重要なのです。

例えば開発の過程でメンバーが間違った努力をしているのに、「頑張っているから」と応援するだけでは、本人はもちろん、プロジェクト全体にとっていい結果になりません。それなら率直に「その方向は違うよ」と伝えたほうが、プロジェクトの進捗も修正できるし、エンジニアとして正しく成長させることができるはず。

これがKindな態度であり、本当の思いやりではないでしょうか。

(写真:エンジニアtype編集部)

チームの「成功」の定義を明確に

──建設的な意見の対立がある状況を生み出していくために、まず取り組むべきは何だと思いますか?

まずは、開発チームは仲良しグループではなく、プロジェクトを成功に導くための集団であると意識すること。ここがスタート地点ですね。

そして、何をもってチームの「成功」とみなすのか定義を明確にし、全員の意識をそこへ向けること。

ここさえ徹底していれば、例えばコードレビューの際に率直な指摘をしても、「これはプロダクトをよくするために必要なことだ」と前向きに受け止めてもらえるでしょう。

注目のマネジメントキーワード「心理的安全性」を高めるための「考え方」と「行動」がわかる一冊。Google元アジア・パシフィック人財・組織開発責任者であるピョートル・フェリクス・グジバチさんによる、「チームが最高の成果を生む61の鉄則」は必見だ。
『心理的安全性 最強の教科書』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

開発の進め方でいくと、エンジニアの場合、マラソンのように一定ペースで走ってもらうよりも、スプリント(全力疾走)を細かく繰り返してもらうほうが成果が上がりやすいだけでなく、パフォーマンスの低下にもいち早く気づけます。

そこをすばやく拾って対応することで、メンバーは「このマネジャーは自分を見てくれている」と感じ、組織に対するエンゲージメントが高まるでしょう。

最後に大切なのは、マネジャーが自分の成功事例に頼らないことです。

エグゼクティブ(経営陣)コーチとして有名なマーシャル・ゴールドスミス氏は、著書の中で、「あなたの今の成功を形作った経験は、未来の成功を保証しない」と語っています。

会社組織は生き物ですから、過去に成功した手法であっても、今向き合っているチームに適用できるかどうかは分かりません。

エンジニア1人ひとりと人間として向き合って、ベストなパフォーマンスを引き出す。その原点さえ意識し続ければ、形だけのマネジメントに陥らず、真の意味での心理的安全性を実現できるはずですよ。

プロノイア・グループ株式会社 代表取締役
ピョートル・フェリクス・グジバチさん(@piotrgrzywacz

連続起業家、投資家、経営コンサルタント、執筆者。モルガン・スタンレーを経て、Googleで人材開発、組織改革、リーダーシップマネジメントに従事。2015年に独立し、未来創造企業のプロノイア・グループを設立。2016年にHRテクノロジー企業モティファイを共同創立し、2020年にエグジット。2019年に起業家教育事業のTimeLeapを共同創立。ベストセラー『NEW ELITE』(大和書房)他、『パラダイムシフト 新しい世界をつくる本質的な問いを議論しよう』(かんき出版)、『PLAY WORK』(PHP研究所)、『世界最高のコーチ』(朝日新聞出版)など著書多数。新著に『心理的安全性 最強の教科書』(東洋経済新報社)『世界の一流は雑談で何を話しているのか』(クロスメディア・パブリッシング

取材・文/夏野かおる 編集/秋元 祐香里(編集部)

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『エンジニアtype』編集部

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