在日コリアンの日常に映る「北朝鮮」の重い影 映画監督で在日2世のヤン ヨンヒさんに聞いた

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ヤン ヨンヒさん(写真:朝山実撮影)
映画監督のヤン ヨンヒさん(58歳)の両親は韓国・済州島出身の「在日」1世で、父親は大阪の朝鮮総連の幹部。1970年代の初め、当時中学生の3男を含む3人の息子たちを「祖国」に送り出した。日本に1人残った末娘のヤンさんを溺愛しながら、父も母も「北」を信奉していた。
そんなヤンさんの初めてのドキュメンタリー映画『ディア・ピョンヤン』(2005年製作)は、大阪の朝鮮総連の幹部だった父を撮ったもの。朝鮮総連から求められた「謝罪」を断ったことから北朝鮮への入国を禁じられ、向こうで暮らす3人の兄たち家族とは会えなくなっている。
それでも『愛しきソナ』や『スープとイデオロギー』など、計3本の「家族」のドキュメンタリーを完成させてきた。
ヤンさんはこの春に上梓した『カメラを止めて書きます』に自身の家族を「撮る」理由をこう記している。
《兄たちと生き別れになった喪失感を埋めるため、両親の生き様を理解するため、そして私がどこから来たのかを知るためであった。》
映画や、本書に込められた想いをヤンさんに聞いた。

――本書を読みながら、ヤンさんのご両親に対する反抗に「宗教2世」と重なるものを感じました。

そう言われると、そうだと思います。私自身は反抗しながらも途中から親に歩み寄ることができました。「信じる宗教が違うんだ」と思うことで楽になっていったんですね。

「宗教2世」のニュースを見ると親が熱心な信者で、子どもが自分で決める以前にそういう環境ができあがっている。私の場合、映画館に通い、劇場に通い、本を読み、という「学校」以外のものが、私の教育になったと思っています。

幸い両親から考え方を強要されることはありませんでした。ただ高校、大学(朝鮮大学校)と過剰なほど学校から進路指導に干渉され、母が「お兄ちゃんの時代(北朝鮮を「楽園」だと信じて送り出したころ)でもないのに」と学校に対してすごく怒ったことがあったんです。

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