「美味しい店」ChatGPTから"正解"を引き出すコツ 「生成AI」で生まれた仕事、激変する産業
そうすると、たとえば、僕が「和食」よりも「イタリアン」、「日本酒」よりも「ワイン」のほうが好きだとしても、ChatGPTが提示した候補には「(レビューがいい)和食店」が入っている、といった結果になる可能性があります。
しかも、先ほど述べたように、おそらくそこには「うその情報」も多少、交ざっているでしょう。結果として、僕は「あんまり魅力的な候補がないな」「役に立たないな」と思ってしまうというわけです。
ここで気になる点は、AIが「レストラン」一般のデータはたくさん持っていても、「僕」という人間に関するデータはほとんどないために、両者のマッチングがうまくできない、ということです。では、たとえば僕が「グルメサイトA」経由でよくレストランを予約しているとして、仮に「グルメサイトA」にChatGPTが搭載されていたら、どのようになるでしょうか。
課題になっている個人情報の取り扱い
あくまでも仮定の話ですが、「グルメサイトA」には、「僕」という人間の食の嗜好のデータ(過去に予約したレストラン)がたまっています。だからChatGPTは、僕に「おいしい料理とお酒」といわれたときに、食べログにたまっているデータも一緒に参照することで、より僕個人にとって満足度の高い答えを出すことができる。つまり、ジェネレーティブAIが扱えるコンテクスト(文脈)が重要、というわけです。なお、ジェネレーティブAIの個人情報の取り扱いについては、欧米などで課題になってきています。
現在、ジェネレーティブAIは、有料化へ向かう流れのなかにあります。ただ、もともと無料だったサービスがジェネレーティブAIを取り込むことですべてが有料化されるわけではありません。
サービスを提供する側としては、多くのユーザーに使ってもらわなければ意味がありません。有料化することで、ユーザーが離れてしまうのは避けたいでしょう。
だから「課金」という壁を設けずに済むよう、ジェネレーティブAIのコストはサービス側が支払う。AI搭載により顧客満足度を上げ、より多くのユーザーを集める。こうした広告媒体としての価値を上げ、収益を引き続き広告で得ていくモデルも登場するでしょう。
一般には公開されていない独自のデータセットを持つサービスとジェネレーティブAIが合体する。ここでも従来の検索エンジンでは難しかったことが可能になり、いよいよ、「グーグル一強時代」は終わりへと向かうのかもしれません。
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