「サウナで痩せる」は本当か?意外な"納得の結論" 気になる!絶大な「リラックス効果」含めると…

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研究チームを率いるヤリ・ラウッカネン教授は、その根拠として、定期的なサウナ浴のたびに「静脈血管の柔軟性」が増して「血管」が拡張し、一時的に血圧を低下させる点を指摘し、実証実験も行っている。

詳しくは、「サウナ研究の世界的権威」でもあるヤリ・ラウッカネン教授が医学監修をつとめた話題の新刊『究極の「サウナフルネス」世界最高の教科書』で解説されているので、興味がある方は、ぜひそちらをご一読いただきたい。

「痩せやすい身体づくり」に貢献する可能性は十分あり

サウナのもたらす「リラックス効果」の絶大さは、数値化こそ難しいが、私たちが健全な心身を維持していくために決して無視できない。

スマホやパソコンから否応無しに距離をとれる入浴タイムは、日々酷使している脳を休める貴重な「オフラインセラピー」の時間となるだろう。

スマホやパソコンから否応無しに距離をとれる入浴タイムは、日々酷使している脳を休める貴重な「オフラインセラピー」の時間となる(写真提供:こばやし あやなさん)

さらに、フィンランド・サウナ特有のロウリュ(焼け石に水をかけることで室内にめぐる熱々の蒸気)を断続的に浴びたり、水風呂や凍った湖などの冷水に身を沈めたりして、自律神経に心地よい刺激を与えることで、筋肉疲労の緩和やストレスの軽減が期待できる。

ロウリュを断続的に浴びたり、水風呂などの冷水に身を沈めたりして、自律神経に心地よい刺激を与えることで、「筋肉疲労の緩和」や「ストレスの軽減」が期待できる。絶大な「リラックス効果」まで含めると、サウナ浴が「痩せやすい体づくり」に貢献する可能性は十分考えられる(写真提供:こばやし あやなさん)

ストレスが原因でドカ食いに走りやすい人はとくに、サウナ浴のように健康的で心地よいストレス解消法を見つけることが、減量への近道となるかもしれない(ただしサウナ浴後は、味覚の感度が上がって何でもいっそうおいしく感じるので、誰しも食べすぎに注意!)。

こうした日々のセルフメンテナンスやリフレッシュ行為の積み重ねこそが、ただ「痩せる」という目的だけでなく、「バランスのとれた健やかな心身」を維持する何よりの秘訣なのだ。

サウナ浴による直接的な減量効果はさほど見込めなくても、血行が良くなると代謝も連動して上がりやすくなるのは周知の事実であり、「心身のリラックス効果」も含めば、サウナ浴の習慣がめぐりめぐって「痩せやすい身体づくり」に貢献している可能性は、十分にあると言えるだろう。

こばやし あやな サウナ文化研究家、フィンランド在住コーディネーター、翻訳家

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Ayana Kobayashi

1984年岡山県生まれ、大阪・神戸育ち。2011年フィンランドに移住し、現地大学院で芸術教育学を学ぶ。「フィンランド公衆サウナの歴史と意義」というテーマで執筆した論文が学内最優秀論文に選ばれ、2016年にユヴァスキュラ大学修士課程を首席で修了。卒業後に起業し、通翻訳や現地コーディネート業務を続けるかたわら、サウナ文化のエキスパートとして、日フィン両国のメディア出演や講演活動、諸外国の浴場文化のフィールドワークを行なっている。2019年に『公衆サウナの国フィンランド--街と人をあたためる、古くて新しいサードプレイス』、2021年に『クリエイティブサウナの国ニッポン』(ともに学芸出版社)を出版。

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