日本の「生ハム」がイタリア産と根本的に異なる訳 イタリア産輸入停止で見えた日本の生ハム事情

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では、日本のスーパーでよく売られている日本の食肉メーカーが販売しているお手頃な“生ハム”は、何なのか? この生ハムは、「ラックスハム」と呼ばれる種類のもので、ドイツの生ハムの作り方をベースにしています。

ラックスハムは、長時間塩漬けにした豚もも肉を乾燥させながら発酵させて、低温で燻製した加熱していないハムのこと。しかし、日本の“ラックスハム”は調味液に一定期間漬け込んで作ったもので、乾燥や熟成はほとんどされていないのです。

なぜかというと、「熟成ハム類の日本農林規格」の熟成ハム類の生産方法についての基準では、塩漬剤又は塩漬液を用いて原料肉を低温(0℃以上10℃以下の温度)で7日間以上塩漬すること、となっているので、日本の生ハム(ラックスハム)は、1、2週間で商品化される生ハムなのです。つまり、イタリアやスペインの生ハムとは、まったく作り方が違う、日本独自に発達した生ハムなのです。

国産生ハム作りは、リスクが大きい

そもそもイタリア産生ハムの日本への輸入解禁は1996年、スペイン産は1999年と、古代ローマ時代から作られているヨーロッパの生ハムと比べると日本の生ハムの歴史は浅い。

しかし、ちょっと前のデータですが日本は、2016年度のパルマ産ハムの輸入量が約72万kgで、アメリカに次いで世界2位と、日本人は生ハムが大好き!なのです。であれば、日本のメーカーも生ハムを作ればたくさん売れるのでは? と考えてしまうのですが、そう簡単にはいかないのが商売です。

生ハムは、熟成することでおいしくなるものなので、仕入れから製品になるまで1~2年かかります。イタリアやスペインのような生ハムを作ろうとすると、熟成させるための貯蔵設備や、仕込みの豚肉もそれなりの量が必要となります。

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千葉 祐士 門崎熟成肉 格之進 代表

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ちば ますお / Masuo Chiba

1971年、岩手県一関市生まれ。1994年東北学院大学経済学部商学科卒業。1994年大倉工業入社、1999年より外食事業を展開し、五代格之進を開業。2004年丑舎格之進 川崎本店、2006年格之進TOKYO(練馬区桜台)開業。2008年10月に株式会社門崎を設立し、2010年格之進R(六本木)開業。2013年ミートレストラン格之進(一関)、焼肉のろし(岩手県陸前高田)、2014年肉屋格之進F(六本木アークヒルズサウスタワー)開業。2015年11月格之進Rt(代々木八幡)をオープン。現在は「門崎熟成肉」の牛肉販売、卸・食品加工、店舗運営、飲食店運営サポート事業、牛肉の啓蒙活動を行う。
 

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