国内130ものブランドがあり、海外でもそのおいしさが話題になっている和牛。ここ数年のお肉ブームで、国産牛の需要も増え続けています。
とはいえ、肥育農家の戸数は年々減り続け、2008年約8万戸あった肥育農家は、2017年には約5万戸と3割以上減少。中でも子牛を肥育する繁殖農家は、約7万戸から約4万戸と激減しています。
こんなに肉牛の肥育農家が減っているのに、お肉ブームというのは皮肉なこと。その渦中にいる「肉おじさん」としては、真剣に日本のお肉について考え、生産の現場の事実も伝えなければいけないと思っています。
成牛価格は子牛の2倍、とはならない
この肥育農家の減少は、子牛の高騰を招き、2008年約35万円だった和牛の子牛は、今では1頭70万〜80万円とも言われています。つまり倍!! 一方、東京市場での成牛の枝肉(1頭分の骨付肉)の卸売価格は、岩手県の牛(480kg相当)で、130万円くらい。背景には子牛の需要が高まっているのに対して、飼育されている頭数が減っていることがあります。
2年ほど餌をやり、手入れをして大切に育てても子牛の買い取り価格の倍にもならないのでは、小さな肥育農家は続けられない!というのが本音。高齢や後継者がいないこともあってやめていく生産者が多いのは、もう仕方がない現実なのです。だって、これでは生活できないですから。
このまま肥育農家が減り続けていくと和牛は、超希少食肉になり、日本人でもなかなか食べられないプレミアム肉になってしまうかもしれません。
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