2017年9月、仙台市で開かれた「和牛のオリンピック」こと、全国和牛能力共進会。「全共」と呼ばれる年に1回開かれる和牛の品評会は、牛の改良の成果を競う種牛の部と、肉質を競う肉牛の部からなり、9部門で競い全国から約500頭の牛が集結します。
ここで最も多くの部門で1位を獲得した県が、「和牛日本一」を5年間名乗ることができるため、生産者、県をあげての一大行事となっています。ちなみに、昨年は鹿児島県が総合優勝を手にしました。
こうした大会があるように、和牛の肉質、味わい、生産性の向上を求め、生産者や、各県の畜産研究所や改良センターの人たちが、日々改良に取り組んでいるのです。そして、和牛の質の向上で最も重要なファクターが、血統なのです。
なぜ「ブランド和牛」があるのか
神戸牛、松阪牛、近江牛などブランド和牛があるのは、DNAを引き継ぐ血統を守る、という概念が日本の和牛肥育農家にはあるから。これだけ肉質の良さが保たれ、継続して肥育されているいちばんの要因は、血統が守られているからです。
日本の和牛は、昔から(1920年~)登録制度がしっかりしていて、どこの牛が、どの雌牛と交配してこの子牛が生まれた、ということがわかるようになっています。とはいえ、当初は、外国種と交配した和牛も存在し、交配が雑多になっていたため、血統を整理するためでした。
その後、1948年に和牛の肉質の改善、改良を目的に、全国和牛登録協会が設立され、全国で登録が推し進められました。この登録制度が戦前からあることで、どの血筋の牛なのかがわかるのです。今では、だれでもインターネットなどで知ることができます。
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