ウクライナ戦争で日本の鶏肉が高くなるカラクリ 食肉価格上昇に対して日本が今できること

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昨年末から今年にかけて輸入鶏肉の価格が高騰しているその背景とは(写真:shige hattori/PIXTA)

ロシアがウクライナに侵攻して4カ月以上が経ちます。遠い国の争いと思っていたら、今回はかなり日本の食、食肉業界に大きな打撃をもたらしていて、「格之進」でも価格の見直しを迫られています。

昨年末から今年にかけ、輸入鶏肉の価格が高騰しています。その背景には、鶏肉の餌であるトウモロコシを中国が大量に輸入することになったことがあります。中国は、従来ロシアやウクライナからトウモロコシを輸入していましたが、今回の紛争でどちらの国からもトウモロコシを入手することが困難となり、輸入先をブラジルに変更したのです。

ブラジル産の鶏肉出荷量が激減

ブラジルは、過去の食料危機の経験から、自国の餌で鶏を肥育しており、日本にも多くの鶏肉を輸出していました。が、ブラジル産のトウモロコシが中国に大量に輸出されてしまったため、自国の鶏の餌となるトウモロコシが足りなくなってしまったのです。

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そのため、ブラジル産の鶏肉の出荷量が激減し、価格が高騰。日本に輸出する鶏肉が減ってしまい、日本でも輸入鶏肉の価格が高騰!という世界を巻き込んでの大問題となっているのです。

また、日本はコンビニなど大手企業がタイから鶏肉を多く輸入していて、新型コロナウイルスによる減産でタイ産の鶏肉の輸入量も急激に縮小。このWパンチで今、輸入鶏肉の価格が上がっているだけでなく、飲食店などへの出荷制限もかかり、足りていないという状況で、国産鶏肉の価格と変わらなくなってしまっています。

財務省の貿易統計によると(5月27日公表)4月の輸入鶏肉(解体品)の価格は、前年同月より41.4%上昇しており、ブラジル産の価格が260円/kg、タイ産が385円/kgとなっています(全農チキンフーズ 鶏肉情勢より)。

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