和牛生産者からは、すでに昨年と比べて飼料が15~20%値上がりしているという声が聞こえてきており、まだこれからも高騰しそうです。しかし、日本の農業にはそんな予期せぬ事態に備えて積み立てている補填制度があり、それを活用することもできます。
ただ、畜産農家への入金までには数カ月はかかるため、苦しい今の助けにはならない。また、値上がりがいつまで続くかもわからないので、補填申請もできないというのが現実なのです。子牛を買い付けて育て、1年半後に出荷するまでにかかる費用は1頭当たり120万~130万円。この餌の高騰で1頭当たりのコストは10万円以上上がると言われています。
日本でも飼料用トウモロコシの栽培が必要
今回のウクライナ侵攻は、日本の食料自給について改めて考えるきっかけにもなっています。これまでグローバルに食料を輸入することで豊かな食を維持してきましたが、14億人の人口を抱える中国の台頭や、新型コロナのような予期せぬ感染症の世界的な蔓延で、流通の停滞や大きな混乱も今後もありえます。そうなると、今までのように求めるだけの食料が、日本に入らなくなることも十分にあえりえるのです。
「『鳥貴族』のような食のプラットホームとなる会社は、国産消費をもっと積極的に行うことで、サステナブルな日本の農業が実現し、ニューノーマルに対応できるようになる」と大倉社長は話します。私も「国産食材を食べることは、日本の食(農業)への投資となり、生産者と共に日本の食(農業)の豊かな未来を創るために必要なこと」と、これまでも何度も話してきました。
今回の食肉の高騰で、本当の意味での国産食材とは、肥料や飼料も国産でまかなえることだとつくづく思い知らされました。日本は、甘い食用のトウモロコシの生産は多くしていますが、飼料用のトウモロコシの生産はほんのわずか。これまで日本の政府は、稲作農家保護のためには、補助金を多く支給しているのですが、トウモロコシ生産農家の保護は後回しになってしまっているのです。
実の部分だけを収穫し乾燥させた飼料用のトウモロコシ=子実トウモロコシを、日本は世界一輸入しており年間約1500万トン。これを国内で賄うことができれば、国産の餌を食べて育った本当の意味での国産肉が食べられるようになるのです。
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