岡山発「バター専門店」月商2000万に達したワケ ほとんどの商品が「数カ月待ち」なのはなぜか
数年前から密かなささやきとして底流をなしていた「バター」志向。今、はっきりと表面化し、奔流のように新しいブランドが誕生している。
スイーツ全般において素材へのこだわりから始まり、「シングルオリジン」「クラフト○○」といった新たな潮流が生まれてきているのもその傾向を助長しているだろう。
またバターに関しては、「バターそのものを味わう」という体験がだんだん認知されてきている。油脂に関しての考え方が変わってきていることも背景にある。グラスフェッドバターを使用する「バターコーヒー」ダイエットのように、良質な油脂を積極的にとるのはむしろ健康にいい、と捉えられるようになっているのだ。また、しばらく前から始まっているパンブームも、バター人気を後押ししていることは間違いない。
バター専門店を立ち上げた
こうしたブームと関連してかどうか、1つの特異なブランドが頭角を現してきている。岡山市に本社工場を置くナショナルデパート株式会社だ。
2018年11月、食べるバター「ブール アロマティゼ」を発売。バタースイーツ専門ブランド「カノーブル」を立ち上げた。
発酵バターにナッツやドライフルーツを練り込み、そのままスイーツとして食べられるようにしたものだ。もちろん、パンにつけてもよい。ブール アロマティゼとはフランス語で、「フレーバーバター」を意味する。
当初はネットでの販売だったが、人気がじわじわと上がり、やがてデパートでも展開するように。その後同じバターを使ったバターサンドやバターケーキといったスイーツも発売し、一時期は全体の売り上げが月2000万円に届くほどとなった。
代表取締役の秀島康右氏によると、「ちょうどインフルエンサービジネスの最盛期にあたった」ことが、急激に伸びた理由ではという。ただ、SNSを活用したかというとそうでもない。
「当時私は40過ぎ。デジタルには詳しいですが、SNSなんかはまったくわかりませんでした。まずプレスリリースなど、SNSの”外側”で情報発信を始め、ときどき買ってくださったお客様に返信したりしていましたね」(秀島氏)
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