岡山発「バター専門店」月商2000万に達したワケ ほとんどの商品が「数カ月待ち」なのはなぜか

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

第2に挙げられるのが、家内工業のような特異な生産・宣伝・販売形態だ。

目黒区八雲にある東京工場では金土日の12:00~15:00のみ店頭販売を行っている(撮影:今祥雄)

目黒区にある東京工場では秀島氏と妻の2人体制で、岡山工場では3人のスタッフを抱えているものの、みな本業を持っているため、スキマ時間で商品の生産にあたっているという。

加えて、秀島氏はデザイナーの経験を活かし商品やパッケージデザイン、リリース発行などもすべて1人で行っているそうだ。

左がバターケーキ、右がブール アロマティゼのパッケージ。パッケージデザインも秀島氏が手がけている(撮影:今祥雄)

商品の梱包、発送もすべて手作業で行っている。月に2000万円の売り上げがあった昨年は、寝る暇もないぐらいだったそうだ。

利益が出ていて生産が追いつかないぐらい売れているなら人を増やせばいい。しかし、秀島氏の考えは異なっている。逆に、受注を調整しつつ、人を増やさずに生産できる体制を整えようというのだ。

バター専用の3Dプリンターを開発

そのための武器が、3Dプリンターをはじめとする菓子製作用機器である。

2020年8月に、バター専用の3Dプリンター「THE BUTTER PRINTER」を開発。2021年1月にはそれをさらに進化させ、スイーツ専用の3Dプリンティングシステム「Toporogy」を開発した。

ナショナルデパートが開発した、数種類の食材を注入できる3Dプリンティングシステム「Toporogy」(写真:ナショナルデパート)

要はノズルからバター生地を搾り出して好きな形に造形する仕組みだが、後者では複数の食材を注入して立体的に組み合わせることが可能という点で画期的だ。

つまり、これまではスポンジの上にクリーム、というふうに積み重ねることで味の変化や見た目の美しさを出していたのだが、新システムではのり巻きや金太郎アメのように、より複雑な味わいや見た目のスイーツを形作ることができる。

Toporogyで5種類のバタークリームと1種類のスポンジケーキを射出したサンプル(写真:ナショナルデパート)
バターケーキの断面(写真:ナショナルデパート)

職人が手作業で行うような工程を自動化することにより、人力を省力していこうという狙いだ。

こうしたことが可能なのも、工場効率化を専門的に学んだという、秀島氏の経歴があってのこと。

その技術、Toporogyを用いてつくられたスイーツが、バレンタインデーを前に、2021年1月29日に発売された CONTEMPORARY BUTTER CAKE「バタースカッチ&トフィー・チョコレート」と、ホワイトデー商品の「フランボワーズショコラ」(各4200円)だ。

次ページバターとチョコを組み合わせた味とは?
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事