高齢親の囲い込みは、個別の事実関係にもよりますが、高齢親の子や親族に対する違法なものとして不法行為と判断されることがあります。
何か対応はとれないのか?
しかし、高齢親による囲い込みがなされてから数年後に損害賠償が認められたとしても、その会えなかった時間は戻ってきませんし、囲い込みがされている間に高齢親の財産がなくなってしまう可能性もあります。
事後の損害賠償請求も大事ですが、それ以外に囲い込み自体を解消する対応はとれないのでしょうか。
囲い込み自体を解消する方法としては、以下のものが考えられます。
1、 親族間の紛争調整調停の申し立て
親族間において、感情的対立や親の財産の管理に関する紛争等が原因となるなどして親族関係が円満でなくなった場合には、円満な親族関係を回復するための話合いをする場として、家庭裁判所の調停手続きを利用することができます。この調停申し立てをすることで、囲い込みをしている親族との対立関係や誤解を解消できた場合には、囲い込みが解消される可能性があります。しかし、調停はあくまでも話し合いの手続きであり、申し立てを受けた相手方(囲い込みをしている親族)が調停に出席しないときは、調停は不成立となり手続きが終了してしまいます。
2、 行政機関への連絡、連携
これは法的手続きではありませんが、囲い込みをしている親族による虐待等が確認できる場合には、行政機関に連絡をして連携することにより、囲い込みが解消される可能性があります。通称「高齢者虐待防止法」により、通報を受けた市町村は当該高齢者の安全そのほかの事実確認を行い、虐待を防止するのに必要な措置を行う義務があります。
3、 面会妨害禁止の仮処分申し立て
裁判を起こした場合、判決が出るまでにかなりの時間を要するため、一定の要件を満たした場合に限り、早期の審理を経て裁判所が暫定的な地位や権利を認める手続きとして「仮処分」があります。
近年、高齢親の囲い込み問題に関する仮処分決定が出ています。
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