放っておくと後悔する?高齢親の「囲い込み問題」 親族が親の財産を自由に使う狙いかもしれない

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「高齢親の囲い込み問題」。囲い込みをしている親族の狙いと、解消する方法を紹介します(写真:Luce/PIXTA)

「高齢親の囲い込み問題」をご存じでしょうか。囲い込みとは、高齢親の面倒をみている親族が、ほかの親族にその高齢親と会わせないようにしたり連絡をとらせないようにしたりすることをいい、最近このような事例が増えてきています。

高齢親を囲い込む理由には、囲い込みをしている親族が高齢親の財産を自由に使う目的であったり、自分に有利な内容の遺言書を書かせる目的であったり等、高齢親の財産に関係することが多いです。

そして、年齢による衰えや、囲い込みをしている親族がほかの親族の悪口を吹き込んでいたりして、高齢親自身が自分の意思で外に連絡を取ったり助けを求めたりすることが難しいという側面があります。

そのため、高齢親の囲い込み問題が生じたときには、周りの親族が高齢親をその状況から助け出すことが必要になってくるのです。

違法と判断される「囲い込み」もある 

高齢親の囲い込みって違法なの? 高齢親が囲い込みを嫌がっていなかったら違法じゃないのでは?という疑問をお持ちの読者もいるかと思います。

この点、近年、囲い込み問題の違法性に関する判決が出ています。

高齢の母親が自宅で一人暮らしをしていて近くに住む3女が世話をしていたが、母親が自力での移動が難しくなった時期に、長女と2女が母親を連れ出しそれぞれの自宅や施設に住まわせた。3女には居場所を知らせず、母親に会わせることを拒絶。その間に姉2人は判断能力が低下した母の任意後見人(本人との契約であらかじめ定めていた事務を本人に代わって行う者)になった、という事案で、3女が長女および2女に対して損害賠償請求訴訟を起こしました。

2019年11月22日、管轄の地方裁判所は、「親と面会をし、交流をしたいという子としての素朴な感情、又は自由に親と面会をし、交流をするという利益は、それ自体が法的な保護に値するということができるから、合理的な理由もないのに、親と会って交流するという子の機会を奪い、同感情等をいたずらに侵害することは、社会的相当性を逸脱するものとして、不法行為を構成するものと解すべきである」と判断し、長女および2女の行為は不法行為を構成するとして、110万円の損害賠償を長女および2女に命じました。

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