広島サミットの影で起きた中東「晴天の霹靂」 イランとサウジが和解、アサド大統領を歓迎
広島で主要7カ国首脳会議(G7サミット)が開かれ大いに注目を集めたが、実は同じタイミングで多国間の首脳会議(サミット)がG7以外に2つも開かれていた。
一つは中国・西安市で開かれた「中国・中央アジアサミット」で、もう一つはサウジアラビアのジッダで開催された「アラブ連盟首脳会議」だ。
G7が圧倒的な影響力を持っていた一昔前には考えられなかったことで、世界の分断、多極化を象徴するような出来事である。
中国主導の「中国・中央アジアサミット」は同じアジアの日本で開催されるG7サミットに対するあからさまな対抗策であるとともに、ウクライナ戦争の結果、ロシアの中央アジアに対する影響力が低下しているタイミングを見計らって中央アジアに浸透しようという狙いを持った、いかにも中国らしいイベントだ。
もちろん欧米諸国の多くが冷ややかな視線を浴びせているし、中央アジア諸国も簡単に軸足をロシアから中国に移しているわけではなさそうだ。
ここ数カ月で起きた地殻変動
これに対し、「アラブ連盟首脳会議」はウクライナのゼレンスキー大統領がG7サミットとともに出席したことで注目されたが、基本的に日本ではほとんど話題になっていない。しかし、中東の主要国の動きはこの数カ月、かつてないほどの変化をみせており、「アラブ連盟首脳会議」を始め中東の動きはもっと注目されてしかるべき会議である。
まず長年、激しく対立していたイランとサウジアラビアが3月に突然、国交正常化した。
さらに反政府勢力との内戦で国民に対し激しい弾圧を繰り返したためアラブ諸国から仲間外れにされたシリアが5月になってアラブ連盟に復帰することになった。そして、中東諸国のみならず国際社会から激しく非難されていたアサド大統領が「アラブ連盟首脳会議」に堂々と出席し、各国首脳から歓迎されたのだ。
外から見ていると何が起きているのか理解することが難しい出来事が相次いでいる。
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