一時急落した原油価格は夏前に再び上昇しそうだ 世界的な不況の中でも、需要は次第に逼迫へ

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サウジアラビア(中央がアブドルアジーズ・ビン・サルマンエネルギー相)などOPECプラスの原油生産は、あと数年は伸び悩む可能性が高い(写真:ブルームバーグ)

原油先物価格が乱高下している。代表的な指標であるWTI原油先物価格は約3カ月、1バレル(約159リットル)=70ドル台半ばから80ドル台で推移していた。

だが、一連の銀行破綻による市場の混乱の中で大きく値を崩した。シリコンバレー・バンクの破綻をきっかけに市場全体に不安が高まったこともあり、3月15日には一時1バレル=65.65ドルの安値をつけるに至った。その後は一進一退を繰り返していたが、27日には一気に70ドル台を突破、再びレンジ相場のゾーンに戻っている。

産油国の石油生産は、この先も伸びない

一時急落した原油だが、こうした動きはもちろんファンダメンタルズ(基礎的条件)を反映したものではない。今は時期的に暖房需要期もほぼ終了、次の流れを模索する動きが強まってきてもよい頃だ。今回は春以降相場がどのような動きを見せるのか、そしてその際の注目材料は何かを考えてみたい。

まずは供給面に目を向けてみよう。やはり鍵を握るのは、ロシアの生産動向だ。昨年後半に始まった欧州による原油の禁輸措置や、西側諸国による原油のプライスキャップ制度は、今年に入って石油製品にも対象が拡大されている。やはり、この先もロシアの輸出の大きな阻害要因になると見ておくべきだろう。

一方では中国やインドといった需要国がロシア産石油を積極的に購入している。またロシアは第三国で別のタンカーに積み替えるなど禁輸回避措置を講じているとも見られ、同国の生産や輸出は思ったほどに減っていないとの見方もある。

それでもここから積極的に増加してくるとは考えにくい。すでに2月にはアレクサンドル・ノバク副首相が、3月から制裁への対抗措置として生産を日量50万バレル削減することを明らかにしており、今後は実際に同国の生産量が減少してくるのか、それによって世界需給にどの程度の影響が出てくるのかを見極める必要がある。

しかも、こうした状況下にもかかわらず、サウジを中心としたOPECプラスは、今のところ現行の減産方針を維持する意向だ。もちろん、サウジが原油相場を一段と押し上げたいのは明らかだが、それよりもこれまでの投資不足の影響によって加盟国の生産能力が頭打ちとなり、これ以上は生産を増やしたくても簡単には増やせないという状況にあることが大きいと思われる。

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