一時急落した原油価格は夏前に再び上昇しそうだ 世界的な不況の中でも、需要は次第に逼迫へ
需要面では、やはりゼロコロナ政策を転換、経済の回復に重点を移した中国の動向が大きな鍵を握ることになりそうだ。13日に閉幕した全国人民代表大会では、今年度のGDPの成長率目標が5%前後と、やや控えめな数値が発表されたし、不動産市場の不透明感など、経済の先行きに関しては心もとない部分も多い。
だが、それでもコロナ対策によって停滞していた経済活動が再開したことの影響は小さくないだろう。インドでも需要はしっかり増加すると予想されており、この2国の需要の増加は、引き続き相場の大きな押し上げ要因になると見てよさそうだ。
欧米の中銀がインフレ抑制のため積極的に利上げを進める中、景気の減速や景気後退に対する懸念も根強く残っており、株価の調整が進む局面では投機的な売りが膨らみやすくなることも十分に考えられる。だが、石油はいわば生活必需品であり、経済活動が普通に営まれている限り、不景気の年でも需要はそれなりに伸びてくるものである。
夏場のドライブシーズンに向け、価格は上昇へ
季節的には、夏場のドライブシーズンに向けたアメリカ国内の需要回復にも期待したい。この冬は記録ずくめの暖冬で暖房需要が低迷、1月と2月には国内需給は供給過剰状態が続き、原油在庫も大幅に積みあがった。だが3月以降は、もはや暖房需要期の弱気要因も、材料視されなくなってくるだろう。
一方では定期点検を終えたアメリカの製油所が稼働を再開、ガソリンを積極的に生産するようになってくるのも確かだ。3月初めの時点では、同国製油所稼働率は80%半ばにまで落ち込んでいるが、今後は徐々に上昇基調が強まり、90%を超えてくるはずだ。稼働率が上がれば製油所における原油の消費も増加、国内需給の逼迫に伴って在庫も再び取り崩しが進むようになる。
例年、夏場に向けたガソリン需要は、5月半ばから後半にピークを迎えることが多い。相場もそれに向けてガソリン主導で上昇、当面の高値をつけることが少なくない。
特に供給面で大きな問題が生じることがなくとも、季節的な需要の回復だけでもWTI原油は1バレル=90ドル近辺まで値を切り上げてくるはずだ。
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