「盛りすぎた日本株上昇論」が行き詰まりそうだ アメリカ株も景気や業績悪化による下落へ
つい最近まで、アメリカ市場における「金利騒ぎ」は、筆者の想定以上に長く続いてきた。この2週間だけでも「複数の騒ぎ」があった。
例えば3月2日には、アトランタ連銀のラファエル・ボスティック総裁が、21~22日開催のFOMC(連邦公開市場委員会)において「0.25%利上げに断固賛成する」と述べたと報じられた。この発言は「大幅な利上げが行われない」との期待を広げた。
かと思えば、今度はジェローム・パウエル連銀議長が7~8日の議会証言で3月に0.5%利上げする可能性に含みを持たせた。そのため、金利がかなり引き上げられるのでは、との観測へと振り戻された。
アメリカは「景気と企業収益悪化」が市場テーマに
それでも、こうした「金利騒ぎ」による一喜一憂はすでに峠を越し、徐々に景気と企業収益の悪化(およびそれによる株価下落基調)がアメリカでの市場テーマの中心になってくると予想する。
それを踏まえて先週の出来事を振り返ると、まず9日に週次の失業保険申請件数が公表された。2月26~3月4日における新規申請件数は、まだ低水準ながらも前週から2.1万件増えて、失業者の増加がうかがえた。
同じく9日には、チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス(再就職支援企業)により、全米での人員削減発表数が取りまとめて公表され、2月は7万7770件(前年同月比5.1倍)の削減数となった。この数値は2月単月としては、リーマンショック直後の2009年2月(18万6350件)には遠く及ばないが、それ以来の高水準だ。
9日のアメリカ市場は、こうした雇用悪化を示すデータが相次いだことから、景気懸念に基づく株安、長期金利低下、ドル安を引き起こした。
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