「盛りすぎた日本株上昇論」が行き詰まりそうだ アメリカ株も景気や業績悪化による下落へ

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では、日本株はどうか。9日までは、日経平均株価が一時2万8700円を超え、昨年8月以来の高値となった。アメリカ株の頭の重さとは極めて対照的だ。

こうした日本株の強調展開を受けて、専門家やマスコミは、なぜこれほど日本株が堅調なのか、その理由探しに邁進した。さながら「株価上昇要因探し大会」といった騒ぎだった。

日本株を上げた「2つの要因」は「本物」か

そうした要因探しで挙げられたものは、主に2つほどあったと思う。1つは、ドル高円安が輸出企業の収益を大いに押し上げるとの期待。もう1つは、日本の企業経営がPBR(株価純資産倍率)やROE(自己資本利益率)を向上させる改革を行うとの観測だ。

まず、円安については、昨年10月に1ドル=150円を超えるドル高となった頃は「悪い円安」との大合唱だった。それが今は「円安だから日本株は買いだ」と唱えられているとは、いったいどうしたことか。

これは、昨年10月の日経平均は2万7000円前後でパッとしなかったため、いかに円安が日本株の買い材料ではないかが懸命にこじつけられていた。

ところが最近は、円安と日本株高が並行的に生じてきたため、「円安で日本株は上がるに決まっている」との説が大いに喧伝されているということなのだろう。つまり、株価の動きを見てから、後付けで屁理屈がひねり出されている、という以上のものではない。

それはさておき、経済や企業収益の実態において、円安が輸出企業の収益にプラスかマイナスかといえば、もちろんプラスだろう。外貨建て輸出をこれまでと同額行っていても、その円換算額が膨らんで輸出企業の売り上げと利益は押し上げられる。また、会計上、海外子会社などの外貨建て利益の円換算額が水膨れして、最終利益が押し上げられるという面もある。

ほかの円安による増益効果は、例えば円建ての輸出品が、円安により海外諸国から見ると外貨換算値で安くなるため、輸出数量が伸びるといったものがある。あるいは、外貨建て輸出において、すぐには円安効果が現れなくても、円建ての手取りが増えた日本の輸出企業に値下げ余力が生じ、売価が引き下げられ、輸出が増えるということもありうるだろう。

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