2022年12月初め、中国の習近平主席がサウジアラビアのリヤドに降り立った。その歓迎ぶりが、数カ月前に降り立ったアメリカ大統領のバイデンに比べ格段上のものであったことに、世界中は驚いたはずだ。それは、何もサウジアラビアが中国にとりわけご執心だという意味からではない。
最近、アルゼンチンが優勝したサッカーのワールドカップ・カタール大会も、サッカー場の外での経済的勝利者は中国だったといえる。中国の存在の重さは、何もアラブ諸国だけに限ったことではない。
2022年11月に行われたASEAN(東南アジア諸国連合)、G7(主要先進国首脳会議)、APEC(アジア太平洋経済協力)の国際会議でも主役は習近平であり、どの国も習近平との会談を望んでいた。アジアの時代というが、その存在の中心が中国であることは間違いない。実際、経済において中国やアジアがどれほどの力をもっているのかを、簡単な統計で見てみるとわかりやすい。
グローバル化で途上国経済が成長
2019年のGDP(国内総生産)でみた、トップ10に位置付けられる国を挙げてみよう。物価水準を考慮しない名目価値で計算した場合、上位10カ国のうち先進国ではない国は中国とインド、ブラジルの3カ国しかない。だが、物価水準を考慮した購買力で計算した場合、この3カ国にロシアとインドネシアが入り、先進国の数と並んでいることに気づく。
同じように、世界経済に占める割合を先進国と発展途上国という形で分けた場合、名目価値で計算した場合、G7は全世界のGDP80兆ドルの半分を占める40兆ドルを占めているが(2021年には43%)、購買力で計算するとその割合はすでに30%にすぎないことがわかる。一方、アジアの発展途上国ではすでに35%を占めているのである。しかもその成長率は、G7の1.9%に対し6.4%にもなる。
各国のGDP全体に占める産業生産の割合でみると、もっと興味深い傾向が出てくる。先進国とインドネシア、中国、ロシアと比較してみよう。アメリカはGDPの18%、イギリスは20%、日本は29%、ドイツは30%、フランスは19%。一方、中国は39%、インドネシア40%、ロシアは38%を産業生産が占めている。
これは、先進国では産業生産よりもサービス産業にシフトしていることを意味する。確かに経済が発展すれば、次第に産業生産からサービス生産にシフトしていくことは当然だ。しかし、一方では先進国が工業生産物を発展途上国に頼っているということでもあり、両者の間にサプライチェーンのような世界分業が成立していることを意味する。いわば、先進国は発展途上国にモノを作らせて、その代わりにサービスで支払っているということなのだ。
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