地表の紫外線の約9割を占めるUVAは、UVBに比べてエネルギーは弱いが波長が長いため、雲や窓ガラスを透過して、室内や車内などに入ってくる。
「UVAは肌の奥深くにある真皮にまで到達し、ハリや弾力のもととなっているコラーゲンやエラスチンなどを作り出す線維芽細胞を傷つけやすい。日常的に浴びていると、これらの細胞が変性して、シワやたるみなどを引き起こす『光老化』が生じます」(山本医師)
一方、波長の短いUVBは、肌の表面にある表皮に強いダメージをもたらす。エネルギーが強いため、短時間でも一度に大量のUVBを浴びると日焼けが起こり、やけどをしたように皮膚の赤み、腫れ、痛みなどが生じるほか、表皮にあるメラノサイト(色素細胞)が活性化してメラニン色素が沈着するため、シミの原因になる。
前述の、表皮にある免疫を司る細胞のDNAを傷つけてしまうのもUVBだ。皮膚には傷ついた細胞を修復する仕組みも備わっているが、DNAの傷害が度重なると、直し間違いが起こり、その突然変異が皮膚がんの原因になると考えられている。
日焼け止めSPFとPAの違い
紫外線は1日のうちでも変動する。紫外線量のピークとなるのは正午を挟む10時~14時だ。
「これからの時期はできるだけこの時間帯の外出は避けたいところです。外出する際は、日焼け止めのほか、長袖・長ズボン、帽子、日傘などで物理的に紫外線をカットするなどして、十分な対策を講じることが大切です。UVカット素材の衣類なら、なお望ましいです」と、山本医師はアドバイスする。
対策の1つとして欠かせない日焼け止めについては、押さえておきたいポイントがある。
ご存じのとおり、日焼け止めには2つの指標がある。1つがSPF、もう1つはPAで、前者は数字、後者は+の数で効果の高さを示している。SPFはUVBを、PAはUVAをカットする指標だ。
真夏の正午に日焼け止めをつけずにUVBを浴びて、日焼けするまでの時間はおよそ20分とされる。SPF1はその20分の日焼けを防ぐ効果を示す。「SPF15」は、「SPF1=20分間」を基準として、通常(20分)の15倍の300分(5時間)は肌を日焼けから防げるという表示だ。
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