胸やけを起こしやすいタイプや日常生活での対処法、治療などについて、川崎医科大学 検査診断学(内視鏡・超音波)教授の眞部紀明医師に聞いた。
胸やけとは、みぞおちのあたりから胸の中心付近にかけて起こる、やけるような感じや痛み、不快感をいう。眞部医師は、「脂っこいものや刺激物を食べ過ぎたときに一時的に起こることがありますが、時間の経過とともに治まれば、問題はありません」と言う。
一方、数週間以上症状が続く場合は、何らかの病気が考えられる。
胸やけがあるときにまず考えられる病気が、胃酸や胃の内容物が食道に逆流することで起こる「胃食道逆流症」だ。胸やけのほか、酸っぱい液体がこみ上げてくる「呑酸(どんさん)」も起きやすい。
通常、胃と食道のつなぎ目には下部食道括約筋という筋肉があり、その働きで胃酸は食道に逆流しない仕組みになっている。たとえ逆流したとしても、食道の蠕動運動(ぜんどううんどう:伸びたり縮んだりして食べ物や飲み物を食道から胃に送る動き)によって、すぐに胃に戻る。
40~50代の男性と高齢女性に多い
こうした逆流を防止する機能がうまく働かないのが、胃食道逆流症だ。患者数は増加傾向にあり、成人の10~20%は発症していると推測されている(『胃食道逆流症(GERD)診療ガイドライン2021』より)。眞部医師によると、なかでも多いのが「40~50代の男性と高齢者、とくに女性」だそう。
男性の場合は食事の乱れが大きな要因で、肥満も関係する。これについては後述する。「一方、高齢者では加齢で食道の運動機能が低下する方もおり、逆流しやすくなるといわれています。また、高齢女性に多い骨粗鬆症になると、背中が丸くなって胃が圧迫されるため、逆流しやすくなります」と眞部医師。
この場合、「食道裂孔(れっこう)ヘルニア』といって、胃と食道のつなぎ目が上にせり上がった状態になり、下部食道括約筋がうまく働かなくなっていることもあるという。
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