【胸やけ】デスクワークで姿勢悪い人を襲う不調 「お腹周りの脂肪」や「骨粗鬆症」もリスク因子に

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一方、胸やけで受診して胃食道逆流症と診断された場合、前述した日常生活の改善と、胃酸の分泌を抑える「プロトンポンプ阻害薬」の服用が基本的な治療となる。症状が強い場合は、より強く胃酸の分泌を抑える「カリウムイオン競合型アシッドブロッカー」を使用することもある。

「原因が胃酸の逆流であれば、これらの治療で8~9割の人に効果が出ます。服用して2~3日後にある程度症状が軽減し、2週間~1カ月で症状はなくなります。軽症の場合は一度服用をやめ、再び症状が出たときだけ服用を再開しますが、重症の場合は炎症を抑えた状態を維持するために、症状がなくなってからもしばらく薬を服用してもらいます」(眞部医師)

薬を服用しても症状が改善しない場合は、胃酸の逆流以外が原因となっている可能性が高い。「効果がないのに薬を服用していても副作用が出るだけです。詳しい検査を受けることをおすすめします」と眞部医師は言う。

なお、胸やけが軽い場合は、胃酸の分泌を抑える市販薬でも効果があるとのこと。いくつか種類があるので、薬を選ぶときは薬局やドラッグストアの薬剤師に相談するといいだろう。

胃酸と関係なく起こる胸やけも

胃酸の逆流が原因ではない胸やけとして、近年注目されているのが「機能性胸やけ」だ。

「24時間食道インピーダンスpHモニタリング検査」といって、胃酸の逆流の有無や程度を評価する検査方法が開発されたことで、胃酸の逆流がなくても胸やけが起こることがわかってきた。

鼻からチューブを入れて先端部を食道に留置し、24時間のpH(酸性、アルカリ性の程度を示す値)の変動を記録する。チューブの挿入時だけ軽い痛みや違和感が出ることがあるが、その後は小型の測定器を携帯して、食べる寝るなどの普通の生活ができる。

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「機能性胸やけは、空気の逆流や食道のけいれん、知覚過敏などが関連し、ストレスなど精神面の影響も大きいと考えられています。治療は確立されていませんが、抗不安薬や抗うつ薬でよくなることもあります」(眞部医師)

食道pHモニタリング検査はどの医療機関でもできる検査ではない。胃食道逆流症の治療を受けても効果がない場合は、食道pHモニタリング検査ができる消化器内科や内科、消化器科を受診してほしい。

(取材・文/中寺暁子)

川崎医科大学 検査診断学(内視鏡・超音波)教授
眞部紀明医師

1993年、広島大学医学部医学科卒。2003年広島大学大学院修了。広島大学病院光学医療診療部などを経て、2018年から現職。日本内科学会総合内科専門医、日本消化器病学会専門医・指導医、日本消化器内視鏡学会専門医・指導医、日本消化管学会胃腸科専門医・胃腸科指導医、日本消化器がん検診学会認定医、日本超音波医学会専門医・指導医、日本ヘリコバクター学会H. pylori(ピロリ菌)感染症認定医。
東洋経済オンライン医療取材チーム 記者・ライター

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