堺正章氏「自身のイベント」で伝えたかったこと SUPER MUSEUMでクラシックカーの楽しみを

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学生服姿の若者が緊張した面持ちでステアリングを握っていた、ユニークな参加車両にも注目したい。そう、慶応義塾大学自動車部の1931年「フォードA型 フェートン」、法政大学自動車部の1938年「ジャガー 3 1/2 サルーン(残念ながらリタイア)」という、大学の自動車部が所有するクルマだ。

ゴール後の式典に参加した自動車部の学生(写真:SUPER MUSEUM)

「若い世代にクラシックカー文化に触れてもらうのは、重要なことです。第2次世界大戦前のクルマを維持するのは大変なことですが、苦労してそれを行っている大学の自動車部にも敬意を払いたいですし、こういったイベントを経験してもらいたいと考えました。リタイアしてしまった1台にはもう少し頑張ってほしかったですね(笑)」と堺氏。

クルマは、動かして初めてその魅力がわかる。操作する感覚や、静止しているときとはまた異なった趣を見せてくれるスタイリングも含めて、だ。それに、クルマ自体も走ることなく、いつも駐車場に停められていたらかわいそうではないか。

今回のイベントでは、以下のようないくつかのテーマへの挑戦があったと筆者は考える。

1:多くの人々にクラシックカーの魅力を感じてもらう
2:眠っていた希少なクラシックカーに陽の目を当てる
3:次世代にクラシックカー文化を継承する
4:新しいスタイルのクラシックカーイベントの模索

「皆さんの笑顔を見ることができたのが何より」

さて、ゴールのあとは、ディナーとともに表彰式が行われた。日本におけるクラシックカー文化に貢献のあった重鎮たちが、今回のイベント主宰者であるクラブ ロトンドによって選考され、表彰を受けた。

それは、イベントオーガナイザーやミュージアムオーナー、クラブ主宰者など、そうそうたる顔ぶれであった。クラブ ロトンドとしては、クラシックカーの維持に重要な役割を果たすメカニックなど、クラシックカー界全体に功績を残した人々も表彰対象としてスポットを当てたいという。

堺正章氏はクラシックカーマニア、マセラティスタとして知られる(写真:SUPER MUSEUM)

「クルマの香りや風を感じてステアリングを握ると皆、楽しくなります。今回はそんな参加者の皆さんの笑顔を見ることができたのが何よりでした。こういったイベントには何回も参加しましたが、自分で主宰するのは今回が初めてです。皆さんが大変な思いでイベントを開催していることが、よくわかりました。奥さんや仲間の助けがあったからこそ、開催にこぎつけることができました」と笑顔の堺氏。

世界のクラシックカー界を知り尽くした堺氏の新しい試みは大成功であったようだ。第2回SUPER MUSEUMは、2024年3月24~25日に決定している。次回の開催が待ち遠しい。なお、今回参加した美しいクルマの数々は、フォトページにてご覧いただきたい。

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越湖 信一 PRコンサルタント、EKKO PROJECT代表

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えっこ しんいち / Shinichi Ekko

イタリアのモデナ、トリノにおいて幅広い人脈を持つカー・ヒストリアン。前職であるレコード会社ディレクター時代には、世界各国のエンターテインメントビジネスにかかわりながら、ジャーナリスト、マセラティ・クラブ・オブ・ジャパン代表として自動車業界にかかわる。現在はビジネスコンサルタントおよびジャーナリスト活動の母体としてEKKO PROJECTを主宰。クラシックカー鑑定のオーソリティであるイタリアヒストリカセクレタ社の日本窓口も務める。著書に『Maserati Complete Guide』『Giorgetto Giugiaro 世紀のカーデザイナー』『フェラーリ・ランボルギーニ・マセラティ 伝説を生み出すブランディング』などがある。

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