転職で壁にぶつかった「34歳・元期待の若手」の顛末 何もかも違う異業界で苦闘、再確認した大切な物

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「僕としてもこの先の自分自身のキャリアをどうしていこうかな、と考え始めていた時期でした。都会から地方に移り住んで、この雲南市で多くのことを学ばせてもらいました。

同時に地方地域だからこそ都会の仕事の進め方との違いや、丁寧にコミュニケーションを取りながら進めていく必要があったりすることを体感しました。それは、都会では経験できなかったことばかりでした。なので、もしかしたら、都会にいる人たちと地方にいる人たちをまぜこぜにする機会を仕事を通じて作ることができれば、もっといい事業や良いライフスタイルが生まれるのではと思ったんです。

同期から『今、こういう事業を始めたんだ』『一緒にやろうよ!』と誘われたのは、そんな時でした。彼もまた、ずっと前から『いつか何か一緒に仕事しよう!』って話していた仲間の1人でした」

地域の仕事で壁にぶつかり、自身のキャリアも考えている中での、元同僚からの提案。とはいえ、前述の退職のエピソードからわかる通り、義理を重んじる性格の鈴木さんだ。退職の意向を会社に伝えて時期を調整、事業の引き継ぎなどもしっかり行いつつ、LIFULLとも正社員として戻る前に業務委託契約として関わるなど、しっかりとしたプロセスで出戻りを進めていった。

人生で一番過酷な半年間を経て

業務委託は半年に及んだが、結果的に、新規事業を作るに値する適性・力量が自分にあるかを、見定める期間になったという。

「もし自分のスキルが不足していて力量不足であれば会社側から契約解除することもできますし、会社が自分が思っていた雰囲気と違う形に変化していたら、自分からも離れることができる。相性を見極めるお見合い期間でした。数年前に僕が退職した後も、どんどん新しい人が入社して人の入れ替わりもあったので、社風だって変わって当然だと思っていました。

ただ、人数は増えて会社としてはかなり大きくなっていましたが、社風やカルチャーは変わっていませんでした。自分が入った部署が新規事業というのもあったかもしれません。そして何よりも自分のやりたいと思っていたことが、LIFULLの事業と合致していたこと。そこがなかったら戻る意味はないと思っていました。もう34歳になっていたので、僕としてもしっかりバリューを発揮しないと、という覚悟がありましたね」

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